22年10月18日午前9時頃、横浜市内の道路を横断中にワゴン車にはねられ救急搬送され、翌19日午後10時過ぎに帰らぬ人となったザ・ドリフターズのメンバーでタレントの仲本工事さん。81歳の生涯を「芸能界の第一線」で駆け抜けた人気者の突然の訃報に、日本中が悲しみに暮れた。
そんな仲本さんの内縁の妻で歌手の三代純歌さん(56)が27日、週刊誌の報道により名誉を傷つけられたとして、新潮社、光文社、主婦と生活社を相手取り計8,250万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたと会見で明らかにした。
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会見で純歌さんは、仲本さんが事故に遭った原因は『週刊新潮』22年10月13日発売号の記事にあると主張。いったいどういうことなのだろうか。
純歌さんが問題視した記事に書かれていたこと
純歌さんが問題視した記事が掲載された『週刊新潮』22年10月20日号の広告には、こんな文字が。
「ドリフ『仲本工事』を虐げる27歳下『モンスター妻』」
「ゴミ屋敷に夫放置で監視カメラの老人虐待」
該当記事は、仲本さんと12年に「再婚」した純歌さんが21年に犬猫と夫をゴミ屋敷に置き去りにして家を出てしまい、仲本さんが悲惨な状況に置かれていたと伝えている。
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そもそもなぜ仲本夫妻は別居していたのだろうか。芸能関係にも精通するネットニュースサイトの40代男性デスクに聞いた。
「これについては仲本さんご夫婦とも親交があるコラムニストが書かれていたのですが、純歌さんが横浜でカレー店を開いたこと、彼女の趣味の海釣り行くのにこれまで仲本さんと住んでいた目黒の家よりも横浜のほうが都合がいいという理由で別居していたらしいです」
そう語ってソース記事を送ってくれたが、そこには仲本さんが純歌さんに対して「オレが純歌を信じて別居をしているんだから、他人に文句を言われる筋合いはないだろう」と話したとも記されている。
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また、仲本さんが頻繁に純歌さん宅を訪れていたと複数のメディアが伝えている。
「週刊誌報道が仲本さんを死に追いやった」と主張する根拠
例の掲載誌が発売されたのは上述した通り10月13日。仲本さんが事故に遭う5日前のことだ。会見で語った純歌さんによると、仲本さんはこの記事を見て激怒し、心を痛めていたともいう。
「私は面識はないのですが、業界でも温厚と噂される仲本さんが激怒したとなると相当な話です」
と語るのは、在京キー局でバラエティ番組の制作経験もある50代のテレビ関係者だ。彼はこう続ける。
「仲本さんが激怒したという純歌さんの発言を信じるならば、新潮さんの記事に“真実ではないこと”が含まれていたと考えることも可能だと思います」
そんな仲本さんが事故当日、純歌さんの部屋に向かった理由について、日刊スポーツはこのように報じている。彼女が会見で語った内容だ。
「横浜の家にも記者2人が来て、朝7時くらいにうろうろしていたので(仲本さんに)伝えたら『俺が言ってやるよ、純歌はなにも言わなくていいから、俺が守ってやる』と言って来ている途中に事故に遭いました」
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これが純歌さんの「仲本さんが事故に遭った原因は『週刊新潮』22年10月13日発売号の記事にある」との主張の根拠だ。
仲本さんの事故死に残る2つの疑問
それでも仲本さんの事故死には疑問点が残ると、大手週刊誌に執筆経験のある50代の男性ライターが口を開く。
「事故に遭ったのが、記者から純歌さんを守るため、彼女の部屋に向かっている最中だったら分かるんです。一刻でも早く彼女の元に駆けつけなければと交通量も多くて横断歩道のない道路を横断したという仮説が成り立ちますから」
しかし事故現場は純歌さんの部屋ではなくカレー店から近い場所で、しかも当日仲本さんは純歌さん宅を訪れていなかったと書く記事もある。
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「そこなんですよね。どうして記者対応するつもりだった仲本さんが、純歌さんの部屋ではなくカレー店付近にいたのか。私の周りの人間も首を傾げています。しかもそのカレー店に仲本さんは訪れたことがあるはずで、土地勘がまったくなかったわけでもないでしょうから…」
ネット上で囁かれていた“自殺”の線はないのだろうか。これについては前出のテレビ関係者がこう話す。
「仲本さんに限って、というのが当時の業界内の空気でした。とは言っても人の心の中を覗くのは不可能ですし、想像でものを言うのも仲本さんに失礼ですから」
2つの謎の真相を知るのは天国の仲本さんのみだ。そんな仲本さんは、純歌さんが起こした訴訟の行方を見守っていることだろう。