世界的なパワーバランスの大転換期にあたる2024年。「時代の変化に従い、日本株が史上最高値を更新する一方で、中国経済が停滞へ向かうのは偶然の一致ではない」と指摘するのは台湾出身の評論家・黄文雄氏です。日本経済が栄光を極めた1989年や、そこから凋落しはじめた1992年にいったい何があったのか?過去の歴史を振り返ることで、我々が今まさに目の当たりにしている「歯車の逆回転」と「日本復活」のメカニズムが見えてきます。(メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より)
復活する日本、「失われた30年」に沈む中国
中国の経済凋落が止まりません。今年の年初に中国株は5年ぶりの安値まで減価しました。デフレは2015年になぞらえられるまで悪化しています。
共産党が中長期的な経済政策を討議する中央委員会第3回総会(3中総会)は、昨年年終盤に開催されるとみられていたが、日程すら決まっていません。
中国経済はいよいよ深刻な事態になってきています。
● 焦点:中国経済に「閉塞感」、限られる成長への選択肢 全人代も望み薄
その一方で、日本は2月22日、バブル時代である1989年の日経平均株価最高値を35年ぶりに更新し、その後も高値を更新し続けています。
以前の最高値だった1989年という年は、中国では天安門事件が起こった年でもありました。日本バブルが最高潮だった時代に、中国は動乱の時代だったわけです。西欧諸国は天安門事件で民衆を弾圧した中国政府に対して、経済制裁を加えました。
ところが、この国際的経済制裁を破るきっかけをつくったのは日本でした。1992年10月、ときの宮沢政権は、中国からの要請を受け入れ、天皇訪中を決定してしまいます。
これにより、国際協調制裁の輪が崩れてしまったのです。以降、先進国は中国への制裁を次々と解除していきました。そして本格化したのが、改革開放です。欧米はこぞって中国へ進出していきました。グローバリズムがこれを後押ししました。
これでもっとも割を食ったのが日本です。中国の安い労働力と競争にさらされ、日本国内ではデフレ化が進みました。また、中国へ進出する国内企業が急増し、産業の空洞化が深刻になっていきました。
グローバリズムに対する強烈な巻き返しが日本を浮上させる
それが、30年以上の時を経て、再び逆転しようとしているかのようです。
実際、ウクライナ戦争により、西側の自由主義陣営と、中国やロシアなどの専制主義という、新たな冷戦が始まっています。グローバリズムは終焉を迎えつつあります。
このような時代変化に従い、日本が史上最高値を更新する一方で、中国経済が停滞へ向かうというのは、偶然の一致ではないでしょう。
しかも、中国も景気低迷の主因は不動産バブルの崩壊です。
かつてはバブル崩壊後の日本から富を吸い上げていったのが中国でした。そのため日本は「失われた30年」といわれる過酷な時代に突入してしまいました。
しかしいま、歯車が逆回転し、バブル崩壊した中国から富が逃げ出しています。
データが語る、日本の「失われた30年」の終わり
中国では2023年7~9月に、外資の中国投資が初めてマイナスになりました。1998年以来のことです。
● 外資系企業が次々と中国に見切りをつけるワケ 海外からの直接投資が「初めてマイナス」に
しかも中国では2023年7月に反スパイ法が施行され、恣意的な懸念による社員などの摘発強化を懸念する企業も少なくありません。
すなわち、中国は再び毛沢東の文革時代に戻ろうとしているわけです。
● 日本企業〝中国撤退〟反スパイ法施行1カ月の惨状 日系企業の高度技術「丸裸」「強奪」要求 意的な摘発・拘束の脅威
私は、日本の「失われた30年」がついに終わるとともに、今度は中国が「失われた30年」に突入するのではないかと考えています。そう考えるエコノミストも少なくありません。
日本が再び輝きを取り戻す。中国の没落とともに、ライジングサンの時代が再びやってくる。現在はその始まりに過ぎないと思っています。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2024年2月28日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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