日々巧妙化を続け被害が増える一方の特殊詐欺。警視庁は6月11日までに副業詐欺グループのメンバーを逮捕しましたが、被害総額は19億円にも上ると伝えられています。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』ではこうした犯罪に詳しい多田さんが、副業詐欺と過去に多くの被害を出した出会い系サイト詐欺との共通点を指摘。自身の潜入取材での経験を交えつつ、巧妙な手口に乗らぬよう警戒を呼びかけています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:副業詐欺は、サクラサイト商法のバージョンアップと見る理由
副業詐欺は、サクラサイト商法のバージョンアップと見る理由
6月11日までに、警視庁は副業詐欺を行っていた、詐欺グループメンバー26人を逮捕しています。約8,600人から19億円を超えるお金をだまし取っていました。
手口は「悩んでいる人の人生相談に乗れば、報酬が得られる」との広告を出して、偽の副業サイトに誘導し登録させます。そして悩んでいる人になりすましたサクラとメッセージのやりとりをさせて、お金をだまし取るというものです。
そもそもこれは、過去に多くの被害を出したサクラサイト商法(出会い系サイト詐欺)のバージョンアップした手口です。
この商法では、サクラである架空の異性が「連絡先を教える」などといって、サイト内で有料メールのやりとりをさせます。その時、ポイントと称した独自の電子マネーを購入させますが、報道では、今回の詐欺グループも「ダイヤ」というサイトだけで使える独自の通貨を購入させて支払わせていたということです。その際、被害者らは、報酬を振り込む銀行口座情報など、個人情報のやり取りをするには「正規会員になる必要がある」「専用回線の開通が必要」との名目で「ダイヤ」の購入をさせています。
この辺りも、以前のサクラサイト商法と同様で、異性との連絡先の交換をしようとすると決まって、電話番号などが文字化けしており、それを運営会社に伝えると「文字化け回復費用」などの費用を請求されます。
私が潜入した出会い系サイトでは、美女から「サイト内に預けた数百万円をあなたに受け取ってほしい」と言われて「どうすればよいのか」を尋ねると「黄金国宝会員」という正規会員になる必要があるといってきました。
あえて、その手続き費用を払いましたが、お金は受け取れませんでした。すると次に「成金王」になれば、たまっている2,000万円以上のお金を受け取れるといってきましたが、すべてウソで、延々とお金だけをとられて、お金を受け取れることはありません。
詐欺は時勢に合わせて、手口を変えますが、以前のサクラサイトの手口では騙される人が少ないからでしょう。コロナ禍で「自宅で副業をしたい」と思う人たちを狙って、今回のようなバージョンアップした副業詐欺の手口をしかけたと思われます。
いずれにしても、相手は架空の人物(サクラ)であり、ただお金を騙しとられるだけで、相手とは出会えることはありません。ただ、お金をだましとられるだけの結果で終わりますので、充分にご注意ください。
(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2024年6月14日号の一部抜粋です。続きはご登録の上お楽しみください、初月無料です)
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