当時の小池氏はこう訴えていた。「『女性も、男性も、子どもも、シニアも、障がい者もいきいき生活できる、活躍できる都市・東京』」との見出しで、障がい者を前に出してはいるが、具体的には『高齢者・障がい者の働く場所を創出。ソーシャルファームの推進』。今に続く産業政策の枠組みで福祉を語る姿勢だった。
今回、小池氏がこれまでの実績をアピールし、そして「バージョンアップ」を目指す考えですべてを包含するような印象で選挙戦を戦っていた。確かに理想を言えば、「障がい」との言葉がなくなり、ダイバーシティとインク─ジョンの推進の中で、障がいのある人が豊かに暮らせればよい。
大きな目標しては間違ってはいないが、当事者にとってはまだ道半ばである。私も都内で福祉事業を運営していることで、東京都が打ち出している独自の施策はよいものがあるし、これを「アップデイト」するのは必須だ。だからこそ、公約でこれまでの実績を提示し、候補自らが説明し、そして議論する場がほしかった。
そうすることで、障がい者の問題、福祉の政策は、より社会の問題として、社会全体で捉えることができるはずだった。そのベースとして、当事者が何を考えているかを聞く機会にもなる。バージョンアップの中で当事者視線を現実的な施策に反映させる手段を今後も考えていきたい。
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