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驚くほどの利害の一致。イーロン・マスク「トランプへの毎月70億円の献金」が当然すぎる理由

バイデン氏の大統領選撤退を受け、ますます勢いづくトランプ陣営。そんなトランプ氏の支援団体に対して、イーロン・マスク氏が毎月70億円を寄付すると発表し大きな話題となっています。マスク氏の狙いはどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、ニューヨーク・タイムズの記事を引きつつ彼の思惑を考察。その上で、「マスク氏がトランプ氏に献金するのは当然」との見解を記しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:世界を動かすトランプとイーロン・マスク

世界を動かすトランプとイーロン・マスク

イーロン・マスクがトランプ氏支援団体に毎月70億円寄付すると発表しました。

何を狙ったものなのでしょうか?

イーロン・マスクとトランプは何を話合うのでしょうか?

7月18日のニューヨーク・タイムズ記事「イーロン・マスクはどのようにトランプの政策に影響を与えうるか」を部分的に参考にしながら解説しましょう。

【EV電気自動車】

最も対立しそうな問題です。トランプはEV電気自動車産業の育成保護からガソリン車への回帰を主張していますから、これはイーロン・マスクにとって不都合でないでしょうか?

不都合ではないのです。

マスクは繰り返し、電気自動車は、政府から補助を受けるべきではないと述べているのです。

「補助はライバル企業を利するだけだ。テスラは補助なしで十分に売れる」という判断なのです。

【中国政策】

中国はテスラにとって非常に重要な市場です。また上海には最大の製造拠点があります。

マスクは中国のEV電気自動車がテスラ市場を侵食していることに危機感を抱いています。

中国政府を敵に回したくはないでしょう。

マスクは米中関係の緩和をトランプに求めるかもしれません。

そして、自分自身がトランプと中国政府との仲介役を務める可能性もあります。

【AI人口知能】

イーロン・マスクはオープンAIとマイクロソフトを訴え、安全性よりも利益を優先していると非難しています。

それは、彼の企業×AIが競合に追いつくための時間かせぎかもしれません。

あるいは、AI技術が人類を脅かしかねないとの懸念は純粋なものかもしれません。

いずれにせよ、トランプはAI規制の解除派ですので、考え方は対立しています。

【スペースX(ロケット)】

トランプは宇宙を国家安全保障上の主要な関心事としており、その優位性を最優先事項として捉えている可能性が高いです。

そしてトランプが大統領になればロケット打ち上げの安全条件や環境条件などの規制を緩和する可能性は高いです。

この政策はスペースXに有利に働きます。

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【スターリンク】

スペースXが運営する衛星インターネットのサービスです。地球低軌道上に展開され3,000機を超える小型衛星で構成されています。

ウクライナ戦争でもどの地域にインターネットを提供するかをイーロン・マスクが決めています。彼は大げさに言えば戦争の帰趨を決めるカギを握っているのです。

そしてトランプ氏がもつマスク氏との緊密な関係はロシア・ウクライナの双方に強い交渉力を与えるでしょう。

【参照】もはやイーロン・マスク頼み。ウクライナ戦争の鍵を握る「スターリンク」の力(過去メルマガ)

【不法移民対策】

イーロン・マスクは米国の国境崩壊を報道しない大手メディアに激怒しています。トランプとは完全に考え方があっています。

【参照】イーロン・マスクが「X」で激怒。報じないマスコミと無策の米国政府にブチギレた理由(過去メルマガ)

【大手報道機関との対立】

トランプは大手報道機関と長年にわたり対立関係にあります。

イーロン・マスクも大手報道機関の不法移民問題の報道に非常に怒っています。

それでX(旧ツイッター)を買収したイーロン・マスクはすぐにトランプのアカウントを凍結解除しました。

トランプにとって自分の言葉で世界に発信できる強力な媒体Xの存在は大きいでしょう。

以上、いくつかの政策問題点を挙げました。

いまさらながらトランプとイーロン・マスクに共通点、協力できる点が多い事に驚きます。マスクがトランプに献金するのも当然です。

利害が一致する点が多いですが、対立する点もあります。しかしお互いにビジネスマンです。激しく交渉しつつも妥協点を探っていくでしょう。

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(『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』2024年7月21日号より。この続きをお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録ください)

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大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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