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なぜ、韓国は2002年を起点に“自殺共和国”になってしまったのか?

韓国は自殺率が高い「自殺共和国」と言われていますが、そうなった節目が2002年に起きたようです。無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が、その理由を解説しています。

韓国の自殺率爆発の起点、2002年

韓国の自殺率の流れには大きな節目がある。2002年だ。前年14.6人(10万人当たり)だった自殺率が同年18.0人に増え、03年には22.7人に爆発した。以来、韓国はずっと自殺共和国だ。

韓日ワールドカップの熱気が熱かった2002年、韓国社会に一体何があったのか。無分別なクレジットカード発給(カード大乱事件)で借金を勧め、貸金業法が制定(7月)・施行(10月)され私債市場が大きく拡張された時点ということに注目する必要がある。

16年間、私債被害者の無料相談・支援に取り組んできたソン・テギョン民生連帯事務局長(58)に9日、ソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)の民生連帯事務室で会い、絶えない私債被害問題について聞いてみた。彼は「法的に貸金業市場を許容した国は日本と韓国しかない」と嘆いた。それさえも厳格に規制する日本とは異なり、韓国は貸金業者の乱立を傍観し、管理・監督もほとんどない。

彼はインタビューの当日も忙しかった。「大変なことになりました。告訴状を107個作成しなければなりません。明日まで」。ある被害者1人が初めには50万ウォンを借りたが、107の業者にたらい回しされながら返さなければならないお金が私債業者の計算で1億ウォンを越えた。カード代の延滞費を埋めようとしてこのようになった。

「不法私債市場で小額急銭領域は1,000%(年利子)は低い方であり、1万%を越える場合もある」というのがソン局長の説明だ。貸付業者の不法営業行為は、法が定めた利子限度(年20%)をあざ笑っている。

刑事手続きを踏むためには、お金を誰(貸金業者)に・いつ・いくら返したのか特定し、利子率を計算しなければならないため、作業が容易ではない。私債業者の名前と口座名が異なることも多く、被害当事者でさえ誰にいくら返したのか紛らわしいほどだ。

ソン局長は事件別の被害事実と証拠をファイルでぎっしりと整理している。「小額急銭だけでなく、日数領域もあり、高額貸出領域もあり、担保貸出領域もあります。車のローンもあるので、車を持って行ってしまいます。その車を無籍車として使うのです。」お金を返せと被害者の私的情報をインターネットに載せるなど精神が疲弊するほど圧迫する。

「日本は歴史的に許認可制度ができる前に貸金業をしていて、一度になくすのは難しいだめ、許容し規制する方向で整理したものですが、韓国は最初からなかった制度を作りました。私債業者を増やすだけ増やしておいて管理・監督もできず庶民の被害だけが増えることになった。」

日本は資本金5000万円(約4億4700万ウォン)以上を維持しなければならないが、韓国は1000万ウォンさえあれば貸金業者として登録でき、登録後に出金しても構わない。日本は資格試験があり、職員常駐規定もあるが、韓国は何の基準もない。日本の正式貸付業者が1548社(昨年3月基準)ですが、韓国は8771社に上る理由だ。

金融監督院不法私金融被害申告センター、ソウル市金融福祉相談センターに申告できるが、円滑な被害救済には力不足だ。民事訴訟は法律救助公団の支援を受けることができるが、すべての恩恵を受けることができるわけではない。

ソン局長はこのように深刻で重要な問題に、これほど無関心な社会を理解することができない。「以前、非常に衝撃的な事件がありました。私債のせいで娘が風俗店で体を売っていることを知った父親が娘を殺して自殺した事件です。そんな驚愕するような事件が起きても『私債業だから十分にありうる』こんな社会になってしまったのです。あまりにも日常茶飯事で繰り広げられるので、人々が死んでも「誰かが死んだようだ」と言ってあまり気にしません」

彼は韓国の高い自殺率は私債の使用を煽る貸金業制度と関連があると断言する。「以前クレジットカードをたくさん発行してくれて、現金サービスを受けさせてくれた時、信用不良者がたくさんできただけでなく、人々が死んでいったじゃないですか。私債市場も人々がそのように死んでいきます」

貸金業法が制定された翌年(03年)、最初の10万人当たり20人台(22.7人)に跳ね上がった自殺率は、ずっと20人台以上(2011年最高31.7人)を維持している。直近の統計である2022年には25.2人だった。

ソン局長は「金融過剰が発生すれば過剰貸出が起き、誰かは返せない」として「延滞にともなう不利益を避けることができる最も簡単な方法はお金を引き出して埋める『回し止め』になる」と説明した。続けて「金融機関貸出が滞れば貸金業資金を引き出そうとするが、止めなければならない」として「ところで私たちは(政府が)『優秀貸金業者』を選定し、貸金業資金を使えと(勧告)している」と批判した。

社会構成員の全般的な認識も問題だ。彼は「私たちの社会の支配的な意識自体が債権者中心になっている」と話した。「借りたから返さなければならない、この常識だけがあって所得と財産の範囲内で正常に返さなければならないという常識が存在しない」と指摘した。

「許認可を受けた金融機関を第1金融圏・第2金融圏に区分し、その他には貸金業者・私金融業者・私債業者と言うけれど、言葉はちがえど同じ意味ですよね。第2金融圏がマジノ線になるようにしなければなりません。」

彼はこれまでに 3000人以上を相談した。つらい記憶も多い。相談電話をしていて「子供が泣いている」として、電話をかけなおすと言っていた子供の母親が連絡が切れたまま命を絶った。

新型コロナウイルス感染症の時期に訪ねてきて相談を受け、2億ウォンを私債業者から返してもらった青年も周辺の人々に負った心の借金に勝てず、この世を去った。

ソン局長は「実は4年前に(後援が途切れ)民生連帯事務室を閉めなければならなかったけれど、閉めなかった理由がその青年のためだった」として「明るく笑いながら(事務室のドアを)入ってきたんだ」と回顧した。「元気に生きながら心の借金を返していけばよかったのに、それを乗り越えることができなかったんです。」

資本主義のどん底で苦しんでいる人々を救済するのは簡単なことではない。ソン局長は「大変な時もあるが、メンタルは弱くはない」という。[韓国日報参照]

image by: Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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