2.どうやって20台ものスマホを契約したのか?
俳優の岸洋佑さんがTwitterで「落とし物をしたら、スマホが約20台も契約されていた」ことを明らかにしましたが、ここから私たちが、財布を落とした時に、気をつけなくてはならないことが学べます。
財布の紛失に気づけば、警察署や交番に行き遺失届を出して、その中にクレジットカードが入っていれば、それを止めるためにカード会社に連絡をすると思います。しかし詐欺が横行している今は、それだけでは足りません。財布のなかにマイナンバーカードや運転免許証などの身分証が入っていた場合、悪用される可能性があるからです。
俳優さんも、運転免許証が悪用されて、大量のスマホが契約されたと思われます。当然、その送り先は俳優さんの自宅になるわけですが、それを受け取る手段は、詐欺グループ内ではマニュアル化されています。
詐欺グループは、郵便ポストのなかに入っている不在票を手や棒などを使って取り出します。そして本人になりすまして連絡して、時間指定して再配達をさせます。当然、本人の自宅には入れませんから、詐欺グループの人間は、外で宅配業者を待ち伏せして、本人の身分証を見せて商品を受け取ることになります。
この時、できるだけ本人が不在時を狙いますので、在宅時間なども把握されていた可能性が高いと考えています。また、免許証の顔写真については、顔の似た人を用意するか、偽造免許証になりすます人物の顔写真を貼り付けていたはずです。
俳優さんは「郵便ポストの中身が近頃空っぽだった」といっていますが、そうした兆候があれば、身分証が悪用されている可能性を考える必要があります。
3.身分証を落とした時に、やっておきたい信用情報機関への申告
これまで見てきたように、身分証をなくしてしまうと、それが悪用されて、スマホやクレジットカードなどの不正な契約がなされる恐れがあります。それを止めるために、私たちは何をしたら、よいのでしょうか。それは、信用情報機関に郵送やインターネットを通じて「紛失したことを申告しておく」ことです。
ただし国内のどの会社がどこの信用情報機関を利用しているかはわかりません。ちなみに、ソフトバンクは(株)日本信用情報機構(JICC)を利用していますが、他の携帯会社は違います。
手間にはなりますが(株)日本信用情報機構(JICC)、(株)シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センターの3社に連絡しておく必要があります。
各社ともHPで説明していますが、申告をしたからといって、必ず悪用が防げるわけではありません。そのリスクが低くなるということは心に留め置いてください。――(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2024年8月28日号の一部抜粋です。続きは、ご登録の上お楽しみください、初月無料です)
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