詐欺的な“何かやってますアピール”。いじめ探偵が文科省創設の「いじめ対策マイスター」をまったく評価しない理由

 

実際、きちんと連絡があった学校もあるし、教職員もいて、どうなんだろうと話をすると、「社会経験が乏しかったり、無かったりする人が多い業界なので、こうした少なからず挨拶しようという当たり前の社会常識がわからないのでは?」と言う意見ばかりであった。一方、なぜプチ炎上したのだろうというと、「その常識のなさを指摘されると、感情的に激昂する教員は多い」のだそうだ。

これについては、取材中なので後日詳細に書くことになるが、アクティブ型の教育は単に知識を詰め込む詰込み型学習より学びは大きく感じるだろう。画期的であるのは間違いない。そして、その探究の質や拡がりを持たせる役割として、「学校司書」は機能するというのだが、そもそもの雇用が不安定では、仕組みとしては絵に描いた餅であり、個々の学校司書に負担を強いることで成立する職業となってしまう。

こうした雇用上の問題が顕著になっているのは、スクールカウンセラーだ。

スクールカウンセラーは激務

スクールカウンセラー問題においては、東京都による大量解雇問題があった。東京都の場合、全員が非正規の公務員という位置付けで、人事制度としては会計年度任用職員となる。

つまり、その会計年度のみ雇用される立場であり、民間企業の一定期間働くという契約をするような契約社員は5年ルールで、働き続ければ正社員転換ができるという労働法からも外れているため、雇用自体が不安定な立場になる。

そうしたことで、東京都は結果的にスクールカウンセラーを大量解雇するという事態が発生したのだ。

私はこうした実態を知っているか、保護者に当たる大人100人にアンケートを取ってみたが、誰一人、この不安定な就業環境を知らなかった。

スクールカウンセラーは、何かあれば、心理職の専門家として、「頼ってください」と公的なアナウンスが流れるが、実は、ほとんどが、雇用不安定の公的非正規。教員不足と同時に学校のブラック企業化が叫ばれる昨今、スクールカウンセラーはもっとひどい環境で働いてるから、ドブラック労働を強いられているのだ。

実際にスクールカウンセラーとして働いている方に話を聞いてみたが、残業は当たり前で、持ち帰りで仕事もできない上、毎日勤務ではないのでその分給与は安いし、勤務校では原則部屋にいることが暗黙のルールになっているので、教室などを出歩いて困っている子に話しかけることもできないと嘆いていた。

当然に働き方は勤務校や地域によっても異なるということだが、何かあったら、キーマンになるような職業で、現状だと平時においても重要な役職だとなっているのに、こうした制度上の問題で不安定であるというのは、「チーム学校」の考えからすれば、亀裂が生じていると、いえるし、外部からみれば、仕組み的に崩壊しているのではないかと思えてならない。

そもそも、教員不足や教職員のブラック労働、定額サブスク働かせ放題の問題でも、根本的な問題は同様であろう。総じて、責任の割に雇用体制が不安定で、ばかみたいに安い報酬なのだ。

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