詐欺的な“何かやってますアピール”。いじめ探偵が文科省創設の「いじめ対策マイスター」をまったく評価しない理由

 

そもそも被害者側はやることがたくさんある

私は被害者支援を軸としている。稀にこどもから直接の相談と依頼がくることもあるし、金銭的に困窮しているという家庭からも相談があるし、全て交通費も無償での対応を基本としている。だからこそ見えてくるのは、地方だと弁護士さんを探すのも一苦労だし、依頼料を捻出するのも大変なことになる。さすがに弁護料まで我々が負担するわけにもいかず、ギリギリのところで依頼をすることもあるし、そもそもで依頼をしないという方もいる。

不登校であっても学力はなんとかしたいところもあって、フリースクールなど別の学び舎を探すにしても、フリースクールと言えど、授業料などはフリーではない、相応の費用が掛かるし交通費もかかる。心療内科や治療が必要な場合はそうした費用も掛かるし、目が離せない状態であれば夫婦いずれかが仕事を休んだり、仕事を辞めて家にいる必要や付き添いの必要もある。

証拠集めや資料のまとめなどもあるし、平日の日中に、学校が話し合いたいと呼び出しをしてくることに対応しなければならないから、そういう場合に急きょの有休を取ったり、仕事を休んだりしなければならない。

交渉は学校だけではなく、教育委員会とやり取りをしなければならなかったり、学校側の弁護士と対応することもある。

つまり、被害側は全てが手弁当であり、それを負担しなければならなくなるのだ。

そして、100%、いじめ被害においては、被害側の責ではなく加害側の選択によって引き起こされており、重大事態などの大問題になるものは、学校や教育委員会などの対応が不十分というより、不作為や隠ぺいによって起きているのだ。

こうした中で、なぜ被害側を支援せず、制度的な仕組みが学校側ばかりになるのか、全く理解できないし、それでも、何かやってますアピールをするのは、どうも詐欺に遭っているように感じてしまうのだ。

能登が大変なことになっているのに、外遊する総理大臣のように、それもきっと大切なんだろうが、タイミングも悪いし、国民の声が全く届いていないように感じるのだ。

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