拘束した外国人から企業秘密を聞き出し中国企業にリークか?理由なく“出国禁止”にする習近平政権の怪しい意図

 

拘束された理由をまったく公表しない習近平政権

韓国人の場合

今回、韓国人が初めて逮捕された件を見ると、中国が半導体に関して韓国の高い技術を持つ人材を中国に誘致するため、ある程度自制していた慣例が事実上破られたと言える。改正反スパイ法が施行された初期には、海外の学者や外国メディアは、この法律が中国と関係が良くないとされた日本やアメリカ、イギリス、カナダなどの西側の強国を狙うものと推測されていたが、この予想は外れていた。また、半導体の最先端技術において中国が韓国に対する依存度が下がった影響もあるとみられる。

中国では裁判に数年掛かり懲役10年以上が言い渡されるケースも珍しくない。この為、韓国政府は積極的に交渉に乗り出さなければならない。

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多くの外国人は「反スパイ法」で拘束されているといいます。この「反スパイ法」の説明について、改めて、報道を一部引用します。

そもそも、この反スパイ法は14年11月1日の第12回全国人民代表大会常務委員会第11回会議で可決され、施行された。

同法のスパイ行為の定義は、すべての機構、組織、個人によるスパイ行為はもとより、その任務受託、ほう助、情報収集、金銭授受などは、すべてスパイ罪とみなされ、その定義は非常に広範で曖昧だ。

2022年末には改正案が公表され、40条の現行法から71条編成へと大幅に内容が加えられた。

この改正案は、現行法にある“国家機密の提供”に加え、「そのほかの国家安全と利益に関係する文書、データ、資料、物品」を対象に含むと定義し、さらに「重要な情報インフラの脆弱(ぜいじゃく)性に関する情報」もスパイ行為の対象であると規定している。

また、改正案では、スパイ行為が疑われる人物・組織が所有・使用する電子機器やプログラム、設備などの調査権限も規定している。

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簡単に言えば、どうとでも解釈でき、拘束したい人がいたら難癖をつけて恣意的に拘束できるようにするための法ということです。ではなぜ外国人を出国禁止にするのか。それは、中国政府の外交カードとしての役割が強いと言えるでしょう。

これまでに拘束された人々について、中国側は拘束した理由をまったく公表していません。一方、中国側は拘束した人々から企業秘密や技術的なことを聞き出して、中国内の企業にリークすることも可能です。

中国は、こんなことをしなければ国内外の問題を解決できないところまできているというわけです。拘束の対象はビジネスマンには限りません。その家族や留学生たちにまで、恐怖を与えています。

中国共産党のトップとして異例の3期目に入っている習近平氏。習政権は国民にスパイ行為の報告を奨励するなど「国家安全」を極めて重視している。

これにより外国人だけでなく、外国人と繋がりのある中国人も監視されるようになり、その結果、中国ではビジネスだけでなく観光客や留学生などの国際交流においても影響が出ている。

実際、10年前にはアメリカからの留学生は約1万5,000人いたが、2023年には350人まで減っている。

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