「斎藤元彦氏に騙された」若者たちが日本にもたらす新たな希望。トランプ現象とは全く異なる兵庫県知事選の本質とは?

 

トランプ支持者が壊そうとしているのはアメリカそのもの

確かに米国の製造業は空洞化していますが、もともと中ぐらいの付加価値しか産まない製造業は仮にアメリカに戻しても、テスラのようにロボット工場になって、大した雇用は産まないのです。

もちろん、ヒラリー・クリントンの言った「アンタたちのような炭鉱労働は、環境政策で炭鉱を閉めるので消滅します。でも、アンアたちには学び直しの機会は恵んであげます」というような、人の名誉を踏みにじるのはいけません。政治家として、実に稚拙だからです。

ですが、仮にトランプにしても、製造業をアメリカに戻して、しかも工場労働者に高給と名誉を与えるというのは不可能です。

ですから、トランプ主義とは空想であり、トランプが壊そうとしているのは、アメリカを壊すことと同義で、全員を不幸にするのです。

敵方からの調略を受けているかどうかはともかく、アメリカを自壊に向かわせる種類の破壊です。

斎藤氏の支持者は日本を劇的にカイゼンしたがっている

一方で、日本の不満層が壊そうとしている現状は違います。既得権益が権力化し、DXが進まず、学校で習った英語では世界で通用せず、経団連はジャンジャン産業を空洞化させ、大卒5割の国で観光立国などと狂気の政策が進んでいます。そのくせ、残り少ない国富は高齢世代が使い果たそうとしているわけです。

少なくとも、韓国並みにはグローバリズムに適応して、もっとDXが入って、高齢労働力でなく、若者がもっとサクセスできるような改革をしてほしい、この主張には正当性があります。外資の改革はスルーするが、国内資本が改革すると潰されるのはおかしい……こうした現状不満は正しいのです。日本という国の経済としても、将来へ向かった存続という点でも正しいのです。

ですが、改革を潰す圧力は途方もないわけで、何よりも団塊世代は(減りつつあるし、投票率はもっと減っていますが)元々1年210万人、谷間世代は160万、団塊二世も190万、という上の世代の巨大な塊(かたまり)の前には、若い世代は全く無力なわけです。今の30歳は1年140万、18歳の新成人は100万しかいません。人口という面でも思いっきり不利です。

斎藤氏については、疑惑の全てがシロだとは思えません。また、彼をアシストした立花氏の動向は全く褒められたものではないと思います。また、対立候補が分散し、様々な敵失があったのも事実です。ですから、今回の選挙結果については残念だと思っていますし、再登板して斎藤氏が善政をする保証はありません

ですから、この選挙結果については同意できません。ですが、それとは別に、若者世代の巨大な現状不満のエネルギーが投票行動を後押ししたとして、そのエネルギーについては認めざるを得ないし、それどころか希望を感じます

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