日本でも「政治とカネ」の話題は尽きませんが、アメリカは日本では想像もできないほどに問題が多いそうです。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では国際政治経済学者の浜田和幸さんが、トランプを操るためにイーロン・マスクがバラまいているおカネのお話を明かしています。
カネの力でトランプを操るイーロン・マスクの野望と策略
ぶっちゃけ、アメリカの民主主義は「絵に描いた餅」でしかありません。
日本では想像できないほど、「政治とカネ」の問題がはびこっているからです。
例えば、大統領に復活したトランプ氏を資金面で最大限に支えたイーロン・マスク氏ですが、違法な手段でカネをばらまき、選挙の結果を左右したのではないかと問題視されています。
個人としてトランプ陣営に多額の政治献金を重ねたことは問題ではありません。
問題となっているのは、選挙期間中、有権者に対して「投票所に足を運ぶことを決めた人には無作為の抽選で100万ドルをプレゼントする」と銘打った投票促進キャンペーンの実態です。
表向き、マスク氏は「宝くじと同じで、誰が当選するかは時の運だ」と、盛んに無作為性をアピールしていました。
それまで投票に行ったことがない人で、今回、新たに投票所に出向くと決めた人の中から抽選で毎週100万ドルをプレゼントするということで、アメリカでは大きな話題となったものです。
「さすが世界一の大富豪だ。誰に投票しても構わないので、一人でも多くの有権者に投票所に出向くように促している。民主的政治の守護神かも」と評判を呼びました。
ところが、激戦州ペンシルベニア州の司法当局が調べたところ、当選して100万ドルを手にした人物は皆、トランプの選挙運動に直接関わっていたことが判明したのです。
これでは公然とした買収行為に他なりません。
例えば、バンアキン氏は当選者の一人ですが、トランプ選対本部のコンサルタントでした。
要は、トランプ陣営で選挙応援活動を行っていた人物を意図的に選別して、貢献度の大きかった人物に対して「報奨金」のような形で多額のお金をばらまいたということです。
そもそも、バンアキン氏の場合でいえば、選挙管理委員会に提出された文書を見ると、トランプ選対本部から1万5000ドル以上の報酬を受け取っており、それ以外にも1万6000ドルの交通費の支払いも受けていたことが明記されているではありませんか。
正に「身内の出来レースと」言わざるを得ません。
彼以外の100万ドルを得たラッキーな当選者もいずれも似たようにトランプの熱烈な支持者で、トランプ支援集会の常連メンバーでした。
トランプ陣営の選挙活動に積極的に関わった人物を選び、各々に100万ドルを支払い、周りにその一部をばら撒き、トランプ支持の機運を盛り上げたというわけです。
これこそ、票をカネで買い漁るという違法行為ですが、マスク氏の顧問弁護士も「選別は無作為だった」と主張しています。
トランプ氏は既に大統領に返り咲きを決めたわけで、万が一問題となったとしても「マスクが勝手にやったこと」と白を切れば済む話です。
ぶっちゃけ、アメリカの「政治とカネ」の問題の根深さは日本の比ではありません。
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