非常戒厳の問題で逮捕された韓国のユン大統領ですが、その弾劾に「反対」する集会が行われていたことをご存じでしょうか。韓国・北朝鮮情勢に詳しい宮塚コリア研究所の代表である宮塚利雄さんが、現地でそれを間近に見た様子について、自身のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する！」』の中で詳しくリポート。どんな人たちが参加する、どのような集会だったのでしょうか。
ソウルで「尹大統領弾劾反対」の集会を傍観
2月13日から3泊4日の日程で韓国（ソウル）に行ってきた。目的は尹大統領弾劾裁判の進捗状況を韓国の長年の知人から聞くことと、朝鮮の代表的な民謡「アリラン」が誕生して来年で100年になるので、それを記念して日韓間でセミナーを開催することの打ち合わせなどであった。
私が行った日は大陸の独特の気候の「三寒四温」の「温の日」に当たっており、日本を出発するとき仲間から「韓国は寒さが厳しいようだから厚着をしていくように」とのアドバイスも受けていたが、寒さはさほど厳しくなかった。ソウルではプレジデントホテルを定宿としているが、今回は「コリアナホテル」である。空港からタクシーに乗ったが、運転手に「コリアナホテル」と言ったら、しばらくして「ホテルまで行ければいいのだが、デモをやっていると近くまでしか行けないよ、それでもいいか」と言われた。幸い我々が到着した時間帯にはデモは行われていなかったが、太平路の光化門サゴリ（四つ角）の端の部分からコリアナホテルの前を通って、300メートルくらいか、道の半分側に椅子が2000席くらい整然と並べられていた。
ホテルの窓から見たときは1列が30席くらいだったが。運動員とみられる人たちが椅子をきちんと並び変えたりしており、前方には演壇が設けられており、巨大な撮影器具が何か所かに設けられていた。このエリアは尹大統領弾劾に反対する勢力なので、星条旗とテグッキ（大極旗）のミニセットが2000ウオンだったか、それに尹大統領を擁護する各種のポスターや書籍販売所、飲料を売る簡易の売店などが並んでいた。それと簡易トイレも4個だったかエリアの中心部にあったが、集まってきた人たちは優に2000人以上を超えているので、これだけでは足りないのではと思った。
このために会場の真ん中付近に位置するコリアナホテルには参加者の中にトイレを借用しようとする人などが来るので、フロントの前にはホテルの従業員が、入ってくる人たちをいちいちチェックしていた。私も宿泊客だったが3回ほど呼び止められたので、その後はホテルのキーが入ったものを見せて出入りするようになった。
集会を見ていると、少しずつ集まり始めて、各自が座る場所が定められているのか、普通なら演壇上の前の方から椅子に座ると思ってみていたら、300メートルくらいのエリアの広報部や中間部などに座っていくではないが。ほどなくしてこれらの席はほとんど埋め尽くされるが、集会に参加する人たちは青年層や主婦層が老年層に代わっているようで、若者や女性たちが多かったのが印象的であった。巨大な音響のもとに集会は延々と繰り広げられるが、当然のことながらこのエリアを歩く人たちのほとんどが、星条旗と大極旗のセットとステッカーなどを手にしていた。
私も集会を間近に見たが、みな時々拍手と気勢を上げている。私はステッカー集めをした。いくつか紹介すると「タネクムヒョ（弾劾無効）」「イジェミョンクソク（李在明拘束）」「STOP THE STEAL」、裏面は「チョギテソン（早期大選）」（大選）にバツ印が赤字で付いている。「チョギチョンソン（早期総選）」。
別のステッカーには表面は同じであるが、裏面に「ペーアクチョンダン（弊悪政党）」「ミンジュダン（民主党）」「ヘチェハラ（解体しろ）」。別のポスターには「監獄に収監されている李在明の顔写真」に、「チェミョンア カモク カジャ（在明よ監獄に行け）」裏面は尹錫悦大統領の顔写真に「プルボククソク（不法拘束）」「チュッカク チソ（即刻取り消し）」。別のポスターには「チョンボク チャパ（従北左派）」「CCP チュングクコンサンダン（中国共産党）」の文字のポスターもあった。このほかのポスターについて次号で述べる。
この記事の著者・宮塚利雄さんのメルマガ
image by: Shutterstock .com