iPhone SEが担っていた「入手しやすいiPhone」としての役割を果たすために生まれたとされるiPhone16eが、Appleの価格発表で「意外と高い」という評価になっています。しかし、国内キャリア間の「実質価格」の発表はその声を吹き飛ばしました。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』ではケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが、その発表の方法と価格設定に「胸が熱くなった」理由を詳しく語っています。
iPhone 16e予約開始直前、キャリア間での「実質価格競争」勃発—-「iPhone 16eが意外と高い」という声を吹き飛ばす「実質24円」を実現
アップルのiPhone 16e発表を受けて、各キャリアの値段発表が実に見応えがあった。近年まれに見る名勝負だったのではないだろうか。
まず、価格を発表したのがソフトバンク。なぜか予約日前日の20日の17時過ぎには公表していた。MNPで2万4960円とソフトバンクにしてはかなり「常識的な値付け」で正直、拍子抜けしてしまった。直近のGalaxy S25シリーズではスタートダッシュを決めていたのに、どうしてiPhone 16eでは日和ってしまったのか。「月額1円スタートで春商戦を戦う」というテイストの原稿を書こうと思ったのに目論見が外れてしまった。
そんななか、KDDIは「スマホトクするプログラム」でMNP時、初回3円、2~23回目は2円で実質47円を実現。ここ最近、あまり攻めた印象のなかったKDDIであるが、のっけから思い切った値付けでうれしくなってしまった。
一方、相変わらず、iPhoneの価格をなかなか発表できず、いつも予約開始ギリギリになるNTTドコモであったが、今回も予約開始10分前の21時50分にメールが届いた。
「いつでもカエドキプログラム」で23ヶ月目に返却した場合は1210円、12ヶ月目に返却した場合は660円。他に手数料などかかるものの、1年で返却でき、しかも660円という値付けはかなり惹かれるものがある。
「今回は、KDDIが勝ちかな」と思っていたのもつかの間、予約開始の5分後である、22時5分にソフトバンクから「iPhone 16eの価格の改定について」というメールが届く。新トクするサポート(スタンダード)により、月額1円、実質24円という値段になっていたのだ。
まさか、こんな早いタイミングで価格改定をしてくるとは思わず、しかも相変わらず、総務省をガン無視するような価格設定で、胸が熱くなってしまった。
ひょっとすると、前日の発表は他社を惑わすための作戦だったのか。
その点、楽天モバイルは128GBで「買い換え超トクプログラム」でも実質3万4392円と3社と並べるのが恐縮してしまう価格設定であった。
iPhone 16eで興味深いのが、ワイモバイルやUQモバイルなど、サブブランドでも同時発売されているという点だ。ただ、価格設定を見ると、やはり、基本料金の高いメインブランドのほうが端末の負担という点では、軽い感じだ。このあたりは「通信料金の安さを選ぶか」「端末価格の負担はできるだけ抑えたいか」という選び方になりそうだ。
ネット上では「iPhone 16eの値段が高い」と批判されているが、主力のキャリアでは、いずれも、これまで通りの売り方をしている。春商戦真っ最中の発売ということもあり、それなりに売れるのではないだろうか。
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