日本社会の構造自体が女性の活躍を阻む要因に
日本社会における女性差別の問題は、長い歴史の中で根深く残り続けている。その本質を理解するためには、現状を正しく把握し、問題の背景にある社会的要因を分析する必要がある。
現在、日本のジェンダー平等の状況は、国際的に見ても厳しいものとなっている。世界経済フォーラムが発表した2021年のジェンダーギャップ指数では、日本は156カ国中120位と、先進国の中でも特に低い順位にとどまっている(*2)。これは、日本における政治・経済分野での女性の参画率の低さや、社会全体に根強く残る性別役割分担の意識を反映している。
例えば、日本の女性労働者の多くは非正規雇用に就いており、その結果、女性の平均所得は男性より43.7%も低いとされる(*3)。また、家庭内では依然として育児や家事の負担が女性に偏り、「ワンオペ育児」という言葉が示すように、多くの女性が家庭と仕事の両立に苦しんでいる。これらの要因が相まって、女性の社会的・経済的地位の向上が阻まれているのが現状だ。
翠川秋子の時代から約100年が経過したが、日本における女性差別の問題は本質的に大きくは変わっていない。日本の社会の構造自体が女性の活躍を阻む要因となっており、この問題の解決には政府、企業、そして社会全体の協力が不可欠である。
▽ジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)について
- 世界経済フォーラムが毎年発表する「グローバル・ジェンダーギャップ・レポート」に基づいて算出される指数
- 146の国と地域を対象に性別による格差を測定
- 「経済」「教育」「健康」「政治」の4分野、14項目から構成される1
- 0から1までのスコアで表され、1に近いほど男女平等を示す
- 0が完全なジェンダー不平等、1が完全なジェンダー平等を意味する
- 各国の男女平等に関する状況を数値化し、国際比較を可能にする
- 2006年から公表が始まった
- 日本の順位は156カ国中120位(2021年度データ)
- 社会の男女平等度を測る重要な指標として国際的に認知されている
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■引用・参考文献
(*1)小池 新「日本初の女性アナウンサー・翠川秋子は、なぜ元ラガーマンの好青年と”心中”を決意したのか──2020 BEST5」文春オンライン 2021年5月9日
(*2)「SDGs目標5『ジェンダー平等』とは | 日本の現状や取り組みを解説」マイ ワールド・ビジョン
(*3)「日本に根強く残るジェンダー問題とは 解消に向けた取り組み事例も紹介」ELEMINIST 2024年1月23日
(『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』2025年3月9日号より一部抜粋・文中一部敬称略)
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