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死亡した軍人“命の代償”はすべて金正恩の懐へ。北朝鮮が「ロシア派兵」を認めた衝撃の内幕

韓国大統領選をめぐる情勢が大きく揺れています。現職の尹錫悦大統領の評価が低迷するなか、李在明氏が次期大統領として当確状態になり、実質、北朝鮮との親北政権ができあがるのではと考えられているのです。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では、韓国・北朝鮮情勢に詳しい宮塚コリア研究所の代表である宮塚利雄さんが、韓国と北朝鮮の今後、そして北朝鮮が「ロシア派兵」を認めたことに対しても詳しく解説しています。

韓国・李在明大統領で間違いないか?北朝鮮・金正恩が「ロシア派兵を認めた」ことで“風船ビラ”の効用は

「尹錫悦大統領はだめだったが、李在明だけは絶対大統領にしてはいけない」と張り切っていた韓国の知人が、「李在明が大統領になりそうだ。それにしても与党側の候補者選択のドタバタ劇と、夫人にまつわる不正疑惑などがあって、国民の半分以上は李在明を支持しているので、“よほどのこと”がない限り彼で決まり」と嘆いていた。

“よほどのこと”とは「李在明テロ」のことらしく、李在明は3キロの防弾チョッキを着用していることを披露し、与党側は「政治的なショー」としているが、彼の支持率維持には関係がなさそうだ。

それどころか李在明は早くも大統領に当選したかのように、「大統領任期を5年から4年に短縮した上で再選を可能にすることなど」を柱とした憲法改正構想を発表までした。現行の「5年任期・再選不可」の現在の憲法を改正し、「4年任期・1期4年間の2期まで」とする改憲の是非を問う国民投票を遅くとも2028年の総選挙に合わせて実施することを目指しているというから、大統領選挙での勝利を見越した発言である。

李在明は4月28日にはソウルにある国立墓地「顕忠院」を訪れ、保守政権の歴代大統領の墓参りをしているが、これも中道や保守層の票の取り込みを狙った戦略だった。

北朝鮮の金正恩政権は韓国の大統領選挙に関しては「無関心を装っている」が、親北従者の李在明の当確確実情報に内心「ほっとしている」ようだ。

その金正恩政権は4月28日、朝鮮中央通信が朝鮮労働党中央軍事委員会が27日に党機関紙・労働新聞と同通信に送った書面の内容を伝える形で、ロシア南西部クルスク州でのウクライナ軍との戦闘に北朝鮮軍の兵士らが参加したことを初めて明らかにした。

党中央軍事委員会は書面で、

「ロシアに対するウクライナの武力侵攻」を撃退する会報作戦が勝利のうちに終結したとしたうえで、ロシアでの軍事活動を「国際法とパートナーシップ条約の諸般の条項と精神に合致」していると正当化し、「両国の強固な同盟関係を証明した」と強調した。金正恩総書記は「正義のために戦った彼らはみな英雄であり、祖国の名誉の代表者である。

朝鮮民主主人民共和国の誇らしい息子たちの勇敢を称えて、わが首都には間もなく戦闘偉勲碑が建てられ、犠牲になった軍人たちの墓碑の前に祖国と人民が与える永世祈願の花が添えられるだろう。

強者の偉大な名誉と勝利者の栄光をとどろかせた軍人たちの戦闘精神と英雄主義は後世にも尊敬と名誉の高い壇上で末永く輝くだろう。祖国は偉大な名誉を保って戦った彼らの精神を末永く伝えるべきであり、参戦有志達の家族を特別に優遇するための重要な『国家的措置』を講ずるべきである」

と述べた。

美辞麗句とはこのような白けた文章のことを言うのだろうか。「正義のために戦った彼ら」は、異国の地でロシアの為に戦わされたのであり、金正恩政権の護持の為に犠牲になったのである。

碑文にいかに美辞麗句を並べても、誰もがこのことを信じる者はいないだろう。偉勲碑などはいかようにでもいくらでも作ることはできる。金正恩総書記が言った「参戦有志たちの家族に対する重要な国家的な措置」とは具体的に何を指すのか。これについては「遺族に平壌での居住権を与える」ことを指すようだ。

北朝鮮の人民にとって「平壌に住む」ということはこの上ないことである。北朝鮮の人民は生まれながらにして、「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」に分類され、平壌市民が持つ「市民証」と大多数の人民が所持する「公民証」所持者では国家から与えられる恩恵に「天と地」の差がある。

北朝鮮がひた隠しにしている「ロシアへの派兵」の事実を暴くことを目的としていた「風船ビラを撒く団体」にとっては、金正恩総書記が堂々と(?)と派兵の事実を認め、遺族には特別な国家的な措置を取るということまで明らかにされてしまった(実現は未だ未詳だが)。

金正恩政権の不正を北朝鮮の人民に知らせるのが目的のこれらの団体は、なかなか名目が浮かばないようだ。私は韓国の知人に、死亡した軍人の“命の代償”について、詳しく知らせてやったらどうかと言った。

ロシアは派兵された北朝鮮軍に対し、将校は月給2500ドル、兵士は同2000ドルを支払い、死亡時には補償金として3万ドルを出しているが、これは全額が金正恩総書記の統治資金となり、家族には一銭も入らない。このような現実をいざ派遣された兵士やその家族の心境は計り知れない。

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元山梨学院大学教授の宮塚利雄が、甲府に立ち上げた宮塚コリア研究所から送るメールマガジンです。北朝鮮情勢を中心にアジア全般を含めた情勢分析を独特の切り口で披露します。また朝鮮半島と日本の関わりや話題についてもゼミ、そして雑感もふくめ展開していきます。テレビなどのメディアでは決して話せないマル秘情報もお届けします。長年の研究対象である焼肉やパチンコだけではなく、ディープな在日朝鮮・韓国社会についての見識や朝鮮総連と民団のイロハなどについても語ります。

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