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国民・玉木さん、れいわ・山本さん、参政・神谷さんへ。「消費税を減税する」という貴殿方の決意に嘘はありませんか?口だけ自分だけの惨状に失望しています(作家・元国税調査官 大村大次郎)

元国税調査官の大村大次郎氏が、「消費税減税」を訴える野党が参院選を前に一致団結することの大切さを今一度訴える。大村氏はこれまで、野党第一党の立憲民主党が好んで用いる「財源はどうする?」の詭弁や、国民民主・れいわ新選組両党が流した「食料品を税率ゼロにすると飲食店の負担が増える」のデマを批判してきた(関連記事1関連記事2)。いずれも「なぜ消費税減税勢力は結集できないのか?」という憤りと失望によるものだ。そんな大村氏が今回問うのは「あなた方には本気で消費税を減税する気持ちがあるのですか?」。減税派同士がこのまま醜い争いを続けるなら、国民が彼らに何かを期待することは金輪際なくなるだろう、と大村氏は憂慮する。(メルマガ『元国税調査官・大村大次郎の「本音で役に立つ税金情報“特別版”」』2025/5/16号より一部抜粋、再構成)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです

「消費税を減税する気がまったく感じられない」野党の体たらく

野党がこぞって消費税の減税を主張しはじめ、自民党内でもかなりの人数が消費税の減税を求めています。これだけの国会議員が「消費税の減税」を主張しているのだから、数の論理で言っても十分に可能なことです。

が、非常に非常に残念なことに、消費税減税派の方々はどうしてもまとまりません。「自分が自分が」の方ばかりで、「本当は消費税を減税する気がないのではないか?」としか言いようがありません。

山本太郎さん、玉木雄一郎さん、野田佳彦さん、高市早苗さん、吉村洋文さん、そこのところどうなんですか?あなた方は本気で消費税を減税する気持ちがあるんですか?

立憲民主党が「食料品の税率ゼロ」の方針を決めたとき、国民民主党やれいわ新選組などは、「飲食店が打撃を受ける」などと言って批判しました。後から確認したところ、参政党も同様の批判をしていたようです。

この件については、前回も反論を述べさせていただいたのですが、まだ言い足りないことがあるので、今回も少し捕捉させてください。

【前回】玉木雄一郎氏や山本太郎氏に「消費税」を語る資格なし。「食料品を税率ゼロにすると飲食店の負担が増える」というデマに関する注意喚起(作家・元国税調査官 大村大次郎)

国民民主党、れいわ新選組、参政党などが主張する「食料品の税率をゼロにすると飲食店が打撃を受ける」というのはデタラメであることを前回の記事で述べさせていただきました。

彼らの主張は、立憲民主党が後発で消費税の減税を打ち出してきたのが気に食わないだけであり「反対のための反対」でしかないということです。

玉木さん、山本さん、神谷さん。茶番はもう止めましょう

彼らがいかにいい加減なことを言っているのか、わかりやすい証左を挙げたいと思います。そもそも彼らは、飲食業界のことなど普段は何も気にかけていないのです。

というのも、昨今、飲食業界は大不況となっています。飲食店の数は2023年7月の調査では前年比9.1%も減っているのです(飲食店舗情報サービス『ReCount(R)』のデータより)。一つの業界で前年より9.1%も店の数が減っているというのは大変なことです。

特に和風居酒屋や純喫茶などの個人飲食店の減少が激しくなっています。その理由としては、人件費、材料費の高騰やコロナ禍の政府の無利子貸付金の返還が始まったことなどが挙げられます。

が、飲食業界がこれほど大不況、大危機を迎えているのに、それに対して、れいわ新選組や国民民主党が救済に乗り出そうとしたような形跡は一切ありません。

山本太郎氏も玉木雄一郎氏も、昨今、飲食業界が危機的状況にあることさえ、まったく知らなかったのでしょう。

飲食業界にまったく関心のなかった彼らですが、立憲民主党が食料品の消費税率をゼロにするという提議をしたのが、どうにも気に食わず、どうにかして攻撃する材料がないか検討し、

あ、そうだ!食料品の税率をゼロにすれば、飲食業界が打撃を受けるはず
それをネタにして立憲民主党を攻撃すればいいや

と思いついたのでしょう。

だから、これまでまったく心配も懸念もしてなかった飲食業界の人たちの生活を、急に心配するようなフリをしはじめたわけです。

まあ、茶番にもほどがあるということです。玉木さん、山本さん、神谷さん、ぜひぜひ、このみっともない茶番について説明をしてください。(次ページに続く)

野党が「食料品の税率ゼロ」で一致団結すべきシンプルな理由

いや、この茶番については、もう説明などしなくてもいいです。それよりも私が一番聞きたいのは、「本気で消費税を減税する気があるのか?」ということです。

本気で国民のためを思い、消費税を安くする気持ちがあるなら、他党と連携したり、そのために頭を下げたりすることはたやすいはずです

それをまったくしようとせず、今のまま、自党の主張を頑として変えずに、消費税減税派同士で結集しようという流れを起こさないならば、もう野党は完全に終わりということです。

あなた方に国民が何かを期待することは、もう二度とないでしょう。

筆者は消費税を廃止すべきだと思っていますが、その最初の段階として、「食料品の税率をゼロにする」も「5%にする」も、どちらも効果はあると考えています。どちらでも現在よりは国民の負担は軽くなるからです。

が、消費税率を5%にすると、10兆円以上の税収減となります。食料品をゼロにする場合は5兆円程度の税収減で済みます。だから、どちらが実現性が高いかというと後者だと言えます。

「財源ガー」の連中たちが「減税分の財源はどうする?」とほざいてきても、「苦しい国民のために、たった5兆円の財源を捻出できなくてどうする?」と言い返すことができるからです。

また、食料品の税率を下げることは低所得者対策にもなります。収入が低くなれば低くなるほどエンゲル係数は高くなるので、食料品の税率をゼロにすれば低所得者ほど負担率が軽くなるのです。

減税の額面自体は、高額所得者の方が恩恵は大きいです。高額所得者の方が高いものを食べているからです。ですが、収入に対する減税割合は、低所得者の方がはるかに大きいのです。

そしてこの「食料品や生活必需品の税率を下げる」という方式は、付加価値税を持っている世界の多くの国々が採用しているものです。(次ページに続く)

本当なら日本の消費税も「食料品税率ゼロ」になるはずだった

日本でも、消費税が導入される際に、食料品や生活必需品には軽減税率が取り入れられ税率ゼロにされる予定でした

しかし、どの品目を軽減税率にするかという議論のときに、あらゆる業界が「自分の品目を軽減してくれ」と働きかけたために、調整能力のない日本の政治家や官僚たちはこの問題をさばくことができず、軽減税率を採り入れないまま、

全部一緒だったら文句はないだろう

という乱暴な方法で、消費税を導入してしまったのです。いわば消費税は未完成の状態で導入されたもの、ということです。

未完成のまま導入されてしまった消費税を「食料品税率ゼロ」というあるべき姿に戻す

2019年の増税の際に、一応、生鮮食料品などを8%にするという軽減税率が設けられましたが、軽減率はわずか2%で「形ばかり」のものにしかなっていません。

ちゃんと本来の機能を持つ軽減税率を設定しないと、消費税は未完成のままなのです。

消費税の欠陥を修正するという意味でも、食料品の税率をゼロにするという政策は大きな意義があるはずなのです。

これまで消費税廃止を掲げてきた野党はいくつもありますが、すべて「絵に描いた餅」に過ぎませんでした。党の議席数や構想内容などから見て、到底、実現できるものではなかったからです。

もう国民は「絵に描いた餅」に誤魔化される状態ではないのです。実現性のない理想論なんて、聞いている余裕はないのです。

今よりも生活がよくなる「実現性のある政策」をできるだけ早く実施してもらわなくてはならないのです。

その点を踏まえて、消費税を5%にすることと、食品の税率をゼロにすることのどちらが実現性があるか?消費税減税派の政治家の皆さんには、ぜひ真剣に考えていただきたいと思っております。

そして、与野党の消費税減税派を結集し「消費税減税」という一点だけでも合意を交わし、選挙結果がどうなろうとこの件だけは実行に移す。それが今、政治が真っ先にしなければならないことだと筆者は思います。

(『元国税調査官・大村大次郎の「本音で役に立つ税金情報“特別版”」』2025/5/16号より一部抜粋、再構成。全文は登録のうえお楽しみ下さい。同号では、今回ご紹介した「なぜ消費税減税勢力は結集できないのか?」のほか、「夫婦共働きの税金の裏ワザ1」「財務省の秘密警察」「ノルマに追われる国税調査官たち」「調査官が恐れる“申告是認”」「税務の隠語”おみやげ”とは?」「期末の経理処理には要注意」も掲載。メルマガ登録で、すぐに全文をご覧いただけます)

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image by: Noukei314, CC BY-SA 4.0 | Noukei314, CC BY 4.0 | Noukei314, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

大村大次郎この著者の記事一覧

元国税調査官で著書60冊以上の大村大次郎が、ギリギリまで節税する方法を伝授。「正しい税務調査の受け方」や「最新の税金情報」なども掲載。主の著書「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)

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【著者】 大村大次郎 【月額】 ¥550/月(税込) 【発行周期】 毎月 1日・16日 発行予定

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