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梅雨はどこへ行った。元お天気お姉さんが解説、日本各地で今年の梅雨が早めに明けた要因

各地で統計史上もっとも早い梅雨明けを記録するなど、異常とも言える気象に見舞われている日本列島。これまでもたびたび長梅雨や空梅雨に悩まされてきた我が国ですが、そもそも「梅雨入り」や「梅雨明け」はどのように決められているのでしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、気象予報士として『ニュースステーション』のお天気キャスターを務めていた健康社会学者の河合薫さんが、専門家だからこそ知りうるその実情を紹介。さらに今年の梅雨が各所で早めに開けた要因を解説しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:本当に梅雨は消えたのか?

プロフィール河合薫かわいかおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

駆け足で通り過ぎた雨の季節。本当に梅雨は消えたのか?

あっという間に梅雨が消えてしまいました。

気象庁は27日、九州(南部・北部)、四国、中国、近畿の各地方が梅雨明けしたとみられると発表。九州南部以外は1951年の統計開始以来もっとも早く東海や関東でも、7月上旬には明けそうです。

日本には四季(梅雨を含めると五季)がありますが、その変わり目を気象庁が発表するのは「梅雨」だけです。本来季節は行ったり来たりをくり返しながら変わっていくのですが、気象庁は1964年ごろから、報道機関などに「お知らせ」として梅雨入りと梅雨明けの情報の提供をスタート。86年からは積極的に発表するようになり、「梅雨入り宣言・梅雨明け宣言」などと呼ばれるようになりました。

一方で、季節の変わり目はあいまいですから、梅雨入り宣言後に雨が降らなかったり、明けた!と宣言しても雨が続いたりでメディアや一般の人からも批判が殺到。

「だったらやめましょう!」となったものの、「そんなの困る~!」と今度はやめたことを批判され、「梅雨入りしたとみられる~」「梅雨明けしたとみられる~」とあくまでも、たぶんね~的宣言に変更。

それでも「本当?」「ずっと晴れてるし~」「まだ降ってるし~」とあれこれ言われたため、9月に夏の天候を振り返って確定値が発表される今の形に落ち着きました。

例えば、1993年の梅雨は明けていません。

この年の梅雨は記録的な長雨となり、7月29日に梅雨明けが宣言されたものの、8月に入っても雨天と曇天が続きました。このような状況をうけ、気象庁は梅雨明けについて再度検討した結果、9月1日に梅雨明け宣言を撤回するという異例の事態となってしまったのです。

ん?ってことは、93年の梅雨以来ずっと梅雨?そんなわけないですよね。気象の世界では白黒つけられないことがある、ということです。

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予報官が「梅雨入り・梅雨明け」の目安とする要素

では、そもそもどうやって「梅雨入り・梅雨明け」を決めるのか?ってことになるわけですが、いくつか目安なる要素がありまして、それらの状況をあれやこれやと予報官たちで議論し決定します。

ただし、本コラムでも度々書いてるとおり、天気はナマモノです。大気にはカオス性がありますから、どんなに予測の精度が向上しても「100%当てる」のは無理です。

初期値のわずかな違いがその後に巨大は差となって現れる。蝶がブラジルで羽ばたくことで、アメリカで竜巻が起こるかもしれないなどと言われるバタフライ効果です。

なので予報官たちは梅雨の季節が近づくと胃が痛い!また、あの季節が来てしまったのか…といつも以上に天気図とのにらめっこがはじまるのです。

私はそういう「汗」をかいてきた元ベテラン予報官の人たちから、さまざまな予報の肝を教わってきました。

梅雨の場合に一番参考にするのは「チベット高気圧」で「〇〇で風が強まってる」「△△で西風が強まってる」「ここまで高気圧が張り出してる」といった具合です。チベット高気圧の状況が日本の季節を左右する大気の大きな流れである偏西風に影響を与えるためです。

気象の世界から離れた今は、公開されている天気図しか見ることはできないのですが、今年はチベット高気圧がかなり早い段階から強まっていました。これが早めの梅雨明けにつながりました。

また、フィリピンの東方海上の海水温が高く、夏の高気圧である太平洋高気圧も強まっているので、気温もぐんぐんあがります。

高層天気図などをネットでチェックして、自分で天気を予想してみるのも楽しいと思います。ポイントは「高気圧」。梅雨前線を探すのではなく、中国大陸のチベット高気圧と、日本列島の太平洋高気圧に注目してみてください。

みなさんのご意見、お聞かせください。

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image by : Ned Snowman / Shutterstock.com

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