竹中平蔵という“邪悪な家臣”を得た小泉純一郎が「業界団体の選挙協力」をブッ壊した。創価学会しか支えがない自民党が見る参院選惨敗という真夏の悪夢

 

創価学会に頼り切っている自民党「組織戦略」の破綻

結果を占う上でのポイントはいくつかあり、それを今号と次号の2回に分けて論じる。

第1は、公明党=創価学会の力の衰えが思いの外、速く、それに頼り切っている自民党の組織戦略はすでに破綻しつつあるのではないか、という問題である。

都議選は公明党にとって国政選挙と同等の意味を持つ重要選挙で、それは、その前身の公明政治連盟が1963年に都議選に初挑戦して17議席を得たのを弾みとして翌年に同党を結成、たちまち自社2大政党に対する第3党として国政レベルでも存在感を持つようになったという、その生い立ちに関わっている。

当然、都議会では常に与党の立場を占めていなければならず、そのため都議選には活動家を全国動員して力を注ぐなどして、前回まで連続8回(ということは32年間)全員当選を確実にしてきた。

ところがどうだろう、6月の都議選では、創価学会本部が所在する新宿区で現職を落としたばかりか、教祖=池田大作の生まれ故郷ということもあって強力な地盤を培ってきた大田区でも2人を共倒れさせるという大失態を演じ、現職23人に対し22人を出して19人しか当選させられなかった。全体の得票数も前回の63万票から53万票に減った。

かつて2005年衆院選では898万票と、900万近い比例票を得たこともある同党が、昨秋の衆院選では596万票と、3分の2にまで勢力を減退させてしまったことが、都議選にも如実に表れたということだろう。

根底に、学会員自体の減少と残っている人たちの高齢化という(共産党と同様の)世代論に関わる組織構造の問題があり、それにさらに、公明党それ自体が自民党との癒着なしには存続し得なくなっていることへの内部からの反発という理念的アイデンティティの崩壊問題も絡むので、今の路線を続ける限りはこれに歯止めをかけることはできないだろう。

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