竹中平蔵という“邪悪な家臣”を得た小泉純一郎が「業界団体の選挙協力」をブッ壊した。創価学会しか支えがない自民党が見る参院選惨敗という真夏の悪夢

 

竹中平蔵と小泉純一郎がもたらした「歪み切った組織的堕落」

他方、自民党の昔ながらの支持団体の衰えも著しく、それは小泉純一郎政権が「自民党をブッ壊す」というフェイクっぽいスローガンを呼号し、竹中平蔵という新自由主義に凝り固まった奸臣を得て郵便局長会、医師会、農協など既存のいわゆる中間団体を仮想敵に仕立てて攻撃したためで、その結果、今や自民党を支える全国的なネットワークとして最大のものは創価学会しかないという、歪み切った組織的堕落が生じた。

もし公明党=創価学会との選挙協力がなくなったら自民党はどうなるのかというのは、面白い問題で、メディアはもっと研究して書き立てたらいいのにと思うけれども、自公の一体関係は不変であるかの前提に立っていて、そのことを正面から論じることは少ない。

そこで本誌は、昨秋の衆院選結果を元に自公選挙協力がどれほどのものなのかを実体論的に考える材料として、自民党が公明党の推薦を得て選挙区で当選を果たした123の選挙区について、

  1. 自民党当選者
  2. 同得票数
  3. 次点者所属政党
  4. 同得票数
  5. 票差〔2.-4.〕

の一覧を作成した。

1.には、自民党当選者であっても、平沢勝栄や麻生太郎のように公明党の推薦を受けていない者は除外した。3.には、次点者の氏名は省いて所属もしくは無所属のみを記し、4.その得票数を示した。

5.の票差で、1万未満、数千レベル以下は23人で、簡単に言えば、公明党の協力がなければほぼ間違いなく落選していただろうという人たちである。票差が1万以上2万未満で、公明党の協力がなければ落ちた可能性が大きい人たちは20人である。実際には個々の選挙区事情や自公双方の取り組み姿勢の違いが様々だろうが、そこは勘案せず票差だけで機械的に振り分けた。

その基礎データは巻末に掲げるが、自公協力なしでは自民候補がほぼ確実に落選していた選挙区は次の23選挙区:北海道6、北海道12、青森1、秋田1、栃木3、群馬3、埼玉1、埼玉16、千葉3、千葉10、千葉13、東京3、東京10、東京18、神奈川10、神奈川14、神奈川17、富山1、兵庫7、岡山2、山口2、徳島2、沖縄3。この時の自民党獲得議席は191だったので、マイナス23で168が本当の実力。

その場合に数百から数千票の差で次点に付けていたのは立民19人、維新2人、無所属2人なので、その分増えて、立民167、維新40、無所属14。立民は自民とわずか1議席差で、どちらが連立の主軸になるかという競い合いとなっただろう。

さらに票差1万代の20人からも5人や10人の落選者が出るだろうし、自民票が回ってこなければ落ちる公明党候補者もいるはずだから、自民党が第2党に転落し政権を失っていた公算は大きい。

これは衆院選の結果で、もちろんそのまま参院選に移し替えられる数字ではないが、自公政権の実体構造を窺い知る一助にはなる。

野党側から見れば、自公の間に楔を打ち込むことが自民党権力に止めを刺す早道だということである。また公明党からすると、どこで見切りを付ければ自民党と抱き合い心中しなくて済むかという生死に関わる判断が迫られつつあるということである。

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