テクノロジーが急速に進化するなか、誰一人取り残さない社会は、絵空事でなく現実の目標になりつつあります。メルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』の著者でジャーナリストの引地達也さんが、今回の参議院選挙で唯一福祉政策を具体的に掲げた新党みらいの公約を通して、その希望と課題を考えています。
テクノロジーで解決する福祉公約に「取り残さない」未来はあるか
今回の参議院選挙向けの主要政党による広報に福祉に関する政策が少なくなった点は指摘したが、諸派の中で唯一、福祉の現状を示しながら、詳細な公約を示していた党が「新党みらい」だった。
東京都知事選でも立候補した党首の安野貴博氏は今回、比例代表で当選し、初めて国会で議席を得て、国政政党の要件を満たすことになった。
テクノロジーを「難しい技術のことじゃない。できなかったことを、できるようにする方法のこと」と定義し、テクノロジーという手法を活用し「政治の透明化・効率化を実現する」のを基本としている。
「誰ひとり取り残さない」学びを考えてきた私にとって、それはテクノロジーを活用しなければ到達しない未来であることを認識していたから、同党が示す「未来」にテクノロジーを賢く活用する考えには親近感を覚えるが、国政政党となった今、「テクノロジーだけはない」社会の現実とどのように向き合うかが課題になるだろう。
福祉領域の中で支援活動を行う中で、障がい者を取り巻く政策に関しては、現場で気づき、そして改善が必須な課題はあまりに多い。
主要政党はそれをマクロな視点で公約として示してきたが、新党みらいの公約は、ミクロに語られている。
項目は以下である。
「情報や支援へのアクセスの改善」「障害者雇用の拡充」「福祉従事者の処遇の改善」「多様な声の政策への反映」「福祉の『壁』の撤廃」「障害児と家族の生活を守る支援」「介護テクノロジーおお導入への投資と業務効率化」「介護従事者の処遇の改善」。
ここから具体的なアプローチを記載している。
情報に関しては、障がいのある人に情報が届けられない、または情報が正確に伝えられないことは放置されたまま、私もそれらの方々を情報弱者としてお伝えしながら、情報リテラシー向上を改善の方法として日々務めているが、伝達側の認識は不足したままだ。
また、障害年金の支給についてもテクノロジーの活用により「支給判定をより透明性と公平性をあるものにする」ことは、すぐにでも取り組んでもらいたい。
支給決定基準のあいまいさは受給しようとする人、支援者や家族にとって大きなストレスである。これら福祉に関する課題を抽出し、解決策をテクノロジーで導く手法は目新しい。
記載された課題は、当事者や支援者、家族の意見を取り入れたのだろう。
その切実な思いは、現場でよく聞く声だが、これまでの政党は話を聞いて、制度の説明をし、何らかの是正はいくつもあるが、いつもほふく前進のようにゆっくりとした歩みであった。
テクノロジーを起爆剤に必要なデータを示した新しい動きは、改善すべき課題解決の加速化を期待させる。
期待を寄せるのは、私の「学び」を広げる活動もゆっくりとした歩みの中で、それが日本の政治のスピードだと認識してきたからであるが、常に「もう少し早くできたら」「すぐにできたら」は考え続けてきた。
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