“世界一の親日国”を裏切る悪辣。台湾の半導体メーカーから最先端技術を盗んだ元従業員が転職した日本企業の社名

 

「日の丸半導体」企業にも盗用技術が流出か

そして、この企業は、どうやら日本政府が関わるプロジェクトに関係があるようです。それについて以下、報道を引用します。

現時点で2ナノ半導体の量産化技術では、TSMCが先行している。ライバルである韓国サムスン電子やインテルなども量産化を進めている最中だ。日本では国が2兆円支援する国策半導体企業・ラピダスが、2ナノ半導体の量産を目指している。

問題の発覚を受けて、この装置エンジニアは勤務先の外資企業を退職したが、TSMC従業員と同様に捜査対象となっているとしている。さらに同紙は同日付の別の記事で、東京エレクトロンの新竹サイエンスパークの拠点が検察当局の捜査対象となっていると報じている。

また政権与党・民進党系の大手紙・自由時報は同日の記事で、検察当局の他に国家安全会議も捜査に加わっているとし、「過去2カ月の間に7~8件の問題が捜査対象となっており、日本と韓国の装置メーカーが関与している」と報じている。

この記事では具体的な装置メーカーには言及していないものの、「日本のナショナルチームとしての新興企業が現在2ナノの量産準備を進めており、(捜査対象となっている)装置メーカーがこの新興企業の装置サプライヤーであるため、技術がこの企業に流出しているのかは業界で激しい議論の対象になっている」としている。

この新興企業とは、ラピダスを指しているとみられる。

一連の台湾報道について東京エレクトロンは、「台湾メディアで報じられている内容は会社として承知している」としたうえで、自社が台湾検察当局の捜査を受けているか否かについては「コメントしない」と回答した。

【台湾報道】TSMCから「最先端2ナノ」核心技術が装置メーカーに流出→元従業員3人を逮捕、東京エレクトロンも捜査対象に浮上

ラピダスというのは、ご存知の通り、「日の丸半導体」と呼ばれ、日本政府が「これまでラピダスに1兆8,000億円超を支援し、今年4月には同社を想定した政府出資を可能とする改正法も成立」させたほどに、資金を出し、国家事業として育て上げようとしている組織です。

ラピダスも、もちろん2ナノ半導体生産に向けて試作を続けています。

ラピダスは7月18日、北海道の新工場で試作した2ナノメートル(ナノは10億分の1)の微細半導体の動作確認に国内で初めて成功したと発表。同社の東哲郎会長は記者会見で、試作ラインの立ち上げからわずか3カ月程度での“快挙”を誇った。計算能力向上や消費電力削減に半導体の微細化は不可欠で、2ナノの量産化を実現した企業はまだない。

2030年に市場規模150兆円、「日の丸半導体」復活へ加速 トランプ関税の懸念も

そして、「政府は国内製造分の売上高を22年時点の6兆円から30年に15兆円超まで伸ばす方針」だということで。政府の本気度が分かるような数字です。しかし、この成功も目標も、台湾の技術が盗用されていたとなると話は別です。台湾当局にはしっかりと調査してもらいたいと思います。

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