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モディ首相が訪日した日、“インドのシリコンバレー”で「新幹線E10系」と「50万人受け入れ」について考える

インドの大学と日本の大学との包括提携のため現地に行ったメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』の著者でジャーナリストの引地達也さんは、日印関係のさらなる関係強化を目標に、日本経済・学術・人材の交流拠点として重要な役割を持つインドで感じたことを語っています。

日印共同ビジョンと大学連携、南北結ぶ新幹線に思いを馳せて

インドのモディ首相が日本を訪問し、首相官邸で石破茂首相と首脳会談した8月29日、私はインド南部のベンガル─ルにいた。

両首脳が日本とインドの経済協力の強化を確認する中で、この地では東京エレクトロンがインドで初めてとなる、半導体製造装置の設計やソフト開発を担う拠点を9月から稼働させるとしている。

サプライチェーンの再構築の一環と、インドとの交流の促進等の情勢が絡み合い、首脳会談で示した日印の「共同ビジョン」が示されたことで、南インドは日本にとって重要な地域になり、人的交流は盛んになるだろう。

その中にあって、私自身のミッションは所属する大学と現地の大学との包括提携を行い、学生と研究の交流を活発化させることである。

日本での首脳会談の日はベンガル─ルのセントジョセフ大学とフェリス女学院大学との包括協定の締結式に同大学の小檜山ルイ学長とともに臨んだ。

東京での首脳会談は、両首脳が「次世代の安全と繁栄」に向けて「相互補完的な関係を構築する」との共同声明を発表した。

この大きな目標は、防衛・安全保障や経済連携、人的交流という多岐にわたるアプローチで行われるとしており、大学どうしの交流も、両国関係の基盤として何らかの役割を果たせるのではないかと考えている。

特に今回、フェリス女学院大学が提携するセントジョセフ大学とチェンナイにあるステラマリス大学はともに南インドにあり、日本企業が活発に進出する地域でもある。

日経新聞によると、東京エレクトロンが稼働させる半導体製造装置の設計やソフトウェア開発の拠点は2027年までに人員を300人規模にするという。

またチェンナイが州都であるタミルナドゥ州では半導体製造に欠かせない窒素を供給するエア・ウォーターが生産工場を新設する。

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これらの事業はじめ、日印関係は2014年に両政府が締結した「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」をベースにしているが、今後10年はさらなる関係強化を示した今回の「共同ビジョン」があらたな基盤になる。

それは、経済、次世代モビリティー、医療、人的交流など8分野を柱としており経済分野では「経済安全保障イニシアチブ」を立ち上げ、物資供給での協力や技術提携を推進するという。

今後10年、インドへの民間投資の目標を10兆円とし、「AI協力イニシアチブ」として、AIでの技術提携も模索する。

このIT分野で発展するのがインドのシリコンバレーと呼ばれるベンガル─ル。

内陸にある高地であり、サバナ気候。夏の東京よりも断然涼しい土地だ。

街中には大きな公園が点在し街路樹は鬱蒼とし緑豊かな印象とともにインドならでは喧噪と経済発展の象徴である高層ビルがそびえ立つ。

それは街中だけではなく、郊外の広い土地には新興企業のビルが次々とそびえたつ。

ベンガル─ルをはじめ南インドは、すでに多くの人たちを迎え入れる準備ができているようだ。

共同ビジョンの中では、双方の人材交流を5年間で50万人以上に増やす目標も示しているが、日本側の受け入れはどうだろうか。

インドは多民族、多言語国家であり、宗教も様々なでカーストも社会の認識として存在する複雑な社会だ。

特に南インドは首都デリーを中心にした北部とは違い、政治行動や言語、民族が異なることから、そこにはもう一つのインドがあることを意識しなければならない。

これらの理解を含めて、相互理解をすることが私達の社会に求められている。

またインドで建設中の高速鉄道事業ではJR東日本が開発している新幹線の新型車両「E10系」を導入する方向も確認したという。

これはインドと日本の関係の象徴的な事業になるだろう。

そしてインド北部と南部が新幹線で結ばれる時、インドの風景はどのように変わっていくのだろうか。

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image by: Shutterstock.com

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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