戦争終結に向けた外交的交渉が加速している。北朝鮮にとっては喜ばしい知らせではない。戦争が長引くほど利益が大きいためである。しかし、終戦が北朝鮮とロシアの接近の終わりを意味するわけではない。アメリカと西側の対ロシアの見方が変わらない限り、ロシアとしては牽制が必要である。北朝鮮は非常に有用なカードであり、簡単に捨て去ることはないだろう。
ただしロシアがいつまでも国際社会と対立しながら北朝鮮の核・ミサイル挑発を黙認し続けることはできない。公然と非難したり追加制裁に加わる可能性は低いが、内々には北朝鮮を牽制・圧迫することもあり得る。その場合、北朝鮮は「内政干渉だ」と反発し距離を取り始め、両国関係は冷え込むだろう。北朝鮮が等距離外交へと転換すれば、北中関係の改善や米朝対話の受け入れなどが順次進展する可能性がある。すぐにとはいかないが、朝鮮半島情勢の変化の流れに乗って南北関係改善への突破口が開けることもあり得る。
韓米首脳会談で両国首脳は、金正恩との出会いが国際平和と安保のために必要だと共感した。10月、APEC首脳会議の際、米朝首脳会談の可能性も取り上げられた。ボールは金正恩に渡ったが、北朝鮮の反応が異例だ。キム・ヨジョン名義で出した立場表明を朝鮮中央通信社の論評で格を下げ、非難の焦点を非核化拒否に合わせたというのが興味を引く。それだけ北朝鮮も米朝対話に慎重で、韓米首脳会談の結果を鋭敏に見ているという証左だ。
中国と北朝鮮は、金正恩の訪中を電撃的に発表した。韓米日協力に対抗して北中露の新冷戦構図を築くことが目的だろうが容易ではない。朝鮮半島に対する相反する利害関係、相互牽制の心理、北核問題に対する国際社会の視線など解決すべき課題が山積している。
それでも金正恩・習近平・プーチンの会談は、単なる象徴や誇示を超える意味を持ち、大きな波紋を呼ぶと予想される。北朝鮮に向き合う際には、忍耐と包容、牽制と圧迫を適切に組み合わせた重みのある対応が必要だ。これは南北関係の歴史が教えてくれる教訓でありまた経験でもある。【朝鮮日報(イ・イルギュ前キューバ駐在北朝鮮大使館政治参事コラム)ベース】
image by: 朝鮮労働新聞









