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七代目が遂げた“奇跡”。老舗の醤油蔵が「食堂」と「調味料」で描く新たな歴史

明治時代から続く創業140年という家族と地域に愛され続けた老舗醤油蔵。しかし、時代の変化と職人の高齢化により、ついに蔵は廃業の道を歩むことになりました。無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんは、途絶えかけた伝統に対して「このまま歴史を終わらせていいのか」という想いを胸に新たな挑戦を始めた7代目当主の「廃業から再生への物語」を紹介しています。

廃業から再生へ! 老舗醤油蔵の復活シナリオ!

明治から続く、創業140年の老舗醤油蔵が廃業しました。

機械化の流れや職人の高齢化により、昔ながらの樽製法の伝統が消えてしまったのです。

当主5代目による廃業です。

時は流れ、2017年。

その歴史ある建物をリノベーションし、本格窯焼きピザのレストランがオープンしました。

始めたのは、醤油蔵の7代目当主。

まったく違う分野での出発でしたが、これがキッカケとなって、老舗醤油蔵が復活することになるのです。

ピザレストランを営むうちに、あの醤油を使いたい、あの醤油を復活させたい、という想いが湧き上がってきたのです。

しかし、一度途絶えた蔵を復活させるのは容易ではありません。

残っていた製法を頼りに、高齢化した職人に話を聞き、醤油づくりに取り組む日々が続きました。

やがて、味の再現に成功。

とは言え、昔の商売のやり方では、同じ末路となります。

もう、二度と失敗は許されません。

そこで当主が考えたのは、醤油を使った料理、美味しさを、まずは強くアピールすることで、認知度を高める。

その方法として、食堂を始めることにしました。

『ヒシミツ醤油』。

蔵の名前を冠した、定食のお店です。

定食は5種類。

黒酢ダレで味つけした鶏胸肉の唐揚げをメインにした「森ランチ」。

茶美豚の塩麹しょうが焼きの「村ランチ」。

黒酢ダレで味つけした山女魚の唐揚げの「川ランチ」。

ブランド豚のモモカツの「船ランチ」。

ブランド豚のメンチカツの「原ランチ」。

メインのおかずに、豚汁、サラダ、小鉢、香の物、食後のお茶とお菓子がついています。

このお店が大人気となっている理由は、定食につく“ごはん”にあります。

8種類から選べる上、そのすべてが食べ放題となっているのです。

「シンプル白米」

「ヒシミツ醤油漬け卵かけごはん」

「ヒシミツ醤油のかしわめし」

「柚子胡椒もろみのだし茶漬け」

「藤川椎茸園の乾燥椎茸のかしわめし」

「柚子胡椒風味のなめ茸ごはん」

「自家製梅干しとわさびのだし茶漬け」

「明太子と高菜のごはん」。

ひとつひとつの量を減らして注文できるので、たくさんの味が楽しめます。

しかも、馴染みのない味ばかりなので、初体験に感動するのではないでしょうか。

この蔵が目指したのは、「おうちごはんを楽しむ調味料」。

140年の歴史がある醤油をはじめ、味噌、もろみ、柚子胡椒などを次々に開発し、食堂のメニューに生かしています。

美味しい調味料を知ってもらうために、この食堂が誕生したのです。

調味料は食堂でも販売しています。

ただ失ったものを復活させたのではなく、新たな価値を創造することで、生まれ変わることができたのです。

これからも、次の歴史を刻み続けていくのではないでしょうか。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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