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借金の時効は「5年」で終わる?知らないと損する「消滅時効」の全知識

借金の返済に追われ、いつ終わるのかと不安を抱えて生活している方もいらっしゃるかもしれません。実は、借金には「消滅時効」という制度があります。法律上、原則5年(場合によっては10年)経過すれば、債務を時効で終わらせることが可能です。メルマガ『『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』の著者である吉田さんは、自然に消えるものではない借金の時効の「正しい手続き」と、それに関する知識を紹介しています。

借金の時効

借金の消滅時効は「5年」が基本です。

根拠となる法律は、民法の166条、167条と、147~150条あたりです。

2017年と2020年に法改正があり、詳かい解説は法律家の先生の領域ですので省きますが、とにかく「5年が基本」と覚えておきましょう。

ただ、注意点も多々あります。

よく勘違いされやすいのは、

1.どこから数えて5年なのか?

2.5年で自然消滅するのか?

です。

1.どこから数えて5年なのか?

─ ざっくり言えば、「最後に返した日から」 あるいは「最後に債務承認の署名捺印をした日から」 です。

 「最初に借りた日から5年」ではありません。勘違いしないようにしましょう。

2.5年で自然消滅するのか?

─ とんでもありません。

5年が過ぎて、その間、債権者から催告も法的手続きも何もなく過ぎたとしても、それで終わりではありません。債務者(あなた)が債権者に対し、「時効だから、もう請求しないでください!」と主張しなければ終わらないのです。

また、5年で時効が成立しない場合も多々あります。たとえば、途中で裁判を起こされて判決が確定した場合、時効は判決日から約10年に延びます。

判決が確定すれば差押をすることが可能になりますが、もし差押された場合はそこでまた時効が中断されます。

あるいは、細々と毎月1万円ずつ返しているような場合も、「最後に返した日から5年(または判決が確定してれば10年)」ですので、何十年も時効が到来しないこともあります。

かといって、時効の期間を少しでも短縮すべく、返済を完全にストップして放置しつづけても、債権者もバカじゃありませんから、きっちりと対策をしてきます。

たとえば信用保証協会などは、代位弁済になった後、5年間全く返済がない場合は、債務承認書に署名捺印させようとします。また、債務承認に応じない場合は、裁判を起こして(ほぼ確実に保証協会が勝つ)、勝訴判決によって時効を10年延ばそうとしてきます。

都合のいい解釈で、「5年逃げ切れば時効だぜ」などと考えるのは甘いです。

尚、長年辛抱しているうちに、最後に返済した日から5年、あるいは10年が経ち、運良く時効を迎えることができそうになる場合もあります。

(実は私も、過去に最大36件も借りたことがあり、そのうち33件は遅れたり値切ったりしながらも完済しましたが、3件ほど、時効で終わらせた借入がありました。クレジットカード会社と消費者金融でした・・・)

そのような場合には、自分から率先して、時効を主張しましょう。

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【時効で完全に終わらせるための手続き】

手順1. 調べる。
 ─ 最後に返した日は?債権者は変わってないか?(代位弁済、債権譲渡など)

督促状の一字一句を読み、そこからヒントを得る。督促状がなければCICやJICCなど信用情報機関にも開示する。

連帯保証人がついている場合は、連帯保証人が途中で肩代わりしていないかどうかも注意。

担保がついていて、担保権実行(競売)がなされているような場合は、その競売が返済のような形になるので、競売が終わった日からウン年で時効という計算になる。

つまり複雑なので、担保や保証人や保証会社がついている場合は専門家に相談したほうがいい。

手順2. 郵送。
 ─ 確実に時効の要件を満たしていると確信したら、内容証明郵便で、しかるべき債権者あてに、「消滅時効援用通知書」(しょうめつ・じこう・えんよう・つうちしょ) を送る。

なお、5年~10年という月日の経過の中で、債権者が変わっていることも多い。

合併、会社分割、社名変更、債権譲渡、代位弁済などなど。「債権者はどこなのか?」という基本中の基本をよく調べ、間違えないように!

手順3. 終わり。
 ─ 「消滅時効援用通知書」を送付して、相手から返事がなければ、成功したと考えて良い。

(律儀な債権者は丁寧に「時効を認めます」と返事してくれるが、返事しないで終わりのところのほうが多い。)

時効が失敗したら、債権者から必ず返事が来る。「時効は成立してないですよ!なぜなら、あなたは〇年〇月〇日に3000円返していますから、まだ3年しか経ってないじゃないですか!」 と。

【消滅時効援用通知書の書式】

A4横書きで、だいたい1-2枚程度です。

ネットで検索するとたくさん出てきますし、AIに下書きを書かせてもいいかもしれません。

記載すべき内容は、(1)あなたの住所、氏名、生年月日 (2)債権者の住所、社名(3)消滅時効を援用する旨の文章……と、これだけです。

内容証明郵便は文字数などのルールがありますから、それを郵便局のホームページで調べて、それに合った書式で書いてください。

以上が自力でやる場合のコツです。

もっと確実なのは、前述の手順1も含めて、弁護士さんか認定司法書士さんに相談・依頼することです。(個人的にはこっちをお勧めします。ケチらないほうがいいです)

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【その他 ─ 時効でブラックリストが消える】

あまり知られていませんが、消滅時効の援用により、消費者金融やカードローンなどのブラックリストを消すことも可能です。

事実、私はそれで3件の異動情報(いわゆるブラック)を消した経験があります。根拠は、民法144条(時効の効力)です。

これは誰かに教わったのではなく、必要に迫られて自分で調べ、自分で試しました。

民法144条には、「時効完成の効力は、起算日に遡及する。」と短い文章で書かれています。

これを読んで私は、「なるほど、時効が成立すれば、その契約日まで遡って、契約自体が無かったことになるような感じかな?だとすれば、契約がなかったことになるのだから、その契約内容が登録されている信用情報機関(CICなど)の個人信用情報もすみやかに削除してくださいと要求できるのではないか!?」 と考えたのです。

結果は、3社とも成功しました。内容証明を送付した翌月までに、ブラックが消えました。

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image by: Shutterstock.com

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事業再生コンサルタント。認定事業再生士(CTP)。特に倒産寸前の中小企業、零細企業、自営業の自力再生(のサポート)を最も得意としています。著書『震災後に倒産しない法』(サンマーク出版)、『借金なんかで死ぬな!』(朝日新聞出版)、『連帯保証人 なってみたらすごかった でもまだ手はある』(ワニブックスPLUS新書)、『ブラックリストなんて怖くない』(宝島社)、『働けません。』(三五館)ほか多数。1968年東京生。乙女座A型。趣味は自転車、魚釣り等。無類のネコ好き。

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【著者】 吉田猫次郎 【月額】 ¥528/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 10日・20日・30日 発行予定

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