Appleが発表した新しいApple Watchは、世界で初めて「5G SA対応」「5G RedCap対応」をうたうスマートウォッチとなりました。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、国内キャリアの戦略や総務省の制度整備も含め、RedCapが日本の通信環境にどのようなインパクトを与えるのかについて注目しています。
Apple Watchがまさかの「5G SA対応」で楽天モバイルが落選—-今年4月に制度整備された「RedCap」をソフトバンクがいち早く導入
総務省が「ちゃんと仕事していた」と思えたのが「RedCap」だ。
アップルは今回、5G通信に対応した「Apple Watchシリーズ」を発表した。「スマートウォッチに5G通信なんて必要なのか」と思ったら「消費電力を下げるため」というのが最大の理由だった。
5G対応のキャリア一覧を見ると、楽天モバイルのロゴがなかった。現地で確認したところ「5G SAでつながることが前提なので」ということで、5G SAをほとんどやっていない楽天モバイルは「対象外」になったようだ。
そんななか、ソフトバンクが9月10日に「5G SA向け次世代IoT通信規格「5G RedCap」のネットワーク対応を開始」というリリースを出した。どうやら、初の対応機種はApple Watchになるとのこと。
5G RedCapとは5GベースのIoT通信規格で、4GベースのIoTシステムであるNB-IoTの置き換えとして想定されている。5Gの機能を一部、減らすことで機器のコストや消費電力の低減を図るとされている。
3GPPにおいて、リリース17で議論され、2022年6月に仕様が策定された。
日本では2024年7月30日に情報通信審議会 情報通信技術分科会 新世代モバイル通信システム委員会 技術検討作業班で国内導入の議論がされ、今年4月10日には電波監理審議会でRedCap/eRedCapの導入等に向けた制度整備が諮問された。
2024年7月の段階で、新世代モバイル通信システム委員会技術検討作業班がRedCap/eRedCap導入についての資料を提出しているのだが、そこには4キャリアの名前があった。
まさか検討から1年ちょっとで、新しい通信規格のデバイスが発売されるとは夢にも思わないだろう。しかも、IoT機器となるとマイナーな存在だが、Apple Watchともなれば、かなりの普及台数が見込まれる。
しかし、国内で現在、導入しているのはソフトバンクのみ。KDDI、NTTドコモ共に「適切なタイミングで検討する」ということだった。
総務省としても、3GPPで議論されているのであれば、キチンと国内で導入できるよう、準備を進めていくということだろう。一方で、eSIMクイック転送といったアップルなどが先走って導入する技術のトレンドは全く追えていないというのがよくわかる。
おそらく、アップルが世界的にRedCap対応デバイスとしてApple Watchを投入したことで、一気にRedCapが世界に普及するのは間違いない。KDDIとNTTドコモも急いで導入せざるを得ないだろう。
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