物価が高騰し、日々の暮らしに節約の工夫が欠かせなくなっている今、商売人も変わりつつあります。無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが今回紹介するのは、大阪市旭区にあるという立ち喰いうどん屋さん。高齢者のため驚きの値段で料理を提供しているこの店は、果たして「正しい商売」をしているのでしょうか。
「激安」「適正価格」「ぼったくり」。正しい商売は?
大阪市旭区。朝5時開店の立ち喰いうどん屋さんがあります。
かけうどん・そば 220円、カレーライス 280円という激安店。
物価が高騰する中でも、美味しいものを食べたいと願う人たちに、しばし幸せな時間を提供しています。
安くしているからと、それなりの味なのかというと、決して手は抜きません。
麺やお米、出汁に使ういりこや鰹節、玉子などを販売価格に見合わない原価で仕入れています。
無料サービスである天かすも揚げ物の残りではなく、わざわざ新しい天ぷら粉で作っているほどのこだわりよう。
店主曰く、「この地域は高齢者が多い。いまの日本を支えてきた人たちを美味しいもので応援したい」。
高齢者にはお金のない人が多く、またこの地域は富裕層が少ないので、できる限り安く提供したいと考えたのです。
ぶっかけうどん・そば 250円。
月見うどん・そば 280円。
きつねうどん・そば 300円。
カレーうどん・ぞば 350円。
えび天うどん・そば 380円。
スタミナうどん・そば440円。
こだわり玉子丼 290円。
和風天津飯 390円。
牛丼(国産) 430円。
カツ丼(国産豚) 430円。
天丼 430円。
おにぎり(2個) 140円。
おにぎりセット(かけうどん・そば) 320円。
かけ(うどん・そば)&ミニ牛丼(国産) 430円。
かけ(うどん・そば)&こだわり玉子丼 490円。
朝定食A かけ(うどん・そば)&こだわりTKG 330円
朝定食B かけ(うどん・そば)&昭和のミニカレー 330円。
いまどきあり得ない、驚きの価格がメニューに並んでいるのです。
原材料費も光熱費も人件費も高くなっているので、この価格ではほぼ利益が出ていないことは、容易に推測できます。
なぜ、ここまで安くするのでしょうか。
先にも書きましたが、高齢者を応援するため。
このように、自身の儲けを度外視して、人のために努力を続ける商売人はいます。
お客さまの笑顔のためだけに生きていると言っても過言ではありません。
その精神は見習うべきですし、尊敬もします。
こうした商売人は全国にいます。その地域の人たちにとっては、かけがえのない存在です。
しかし、商売という観点からすると、決して正しいとは言えません。
お客さまを喜ばせるのは当然のこととしても、売る側の人が儲けることもなく、我慢しているのは間違っています。
お客さまが納得し、お店も利益が出せる「適正価格」で販売すべきです。
それが正しい商売なのです。
“映え”ばかりを追い掛け、流行に踊らされている人がたくさんいますが、そんな人を相手に「ぼったくり」をしているヤツらも多くいます。
こうした連中は詐欺師であって、商売人ではありません。
「需要と供給のバランス」だという人もいますが、間違った世の中は正さなければなりません。
お金の価値を知らないおバカさんには、気づかせるべきです。
少し話が逸れましたが、自由競争にも秩序は必要です。
正しい価値を正しい価格で販売することこそが、正しい商売です。
商売人は、このことを頭に入れておいて欲しいと思います。
image by: Shutterstock.com