飲食店経営の現状は、「価格を上げずに粗利を守る」ことが非常に難しくなっています。そんななかで、実は多くの店舗が見落としがちなのが「ドリンクの売り上げ構成」なんだとか。今回、外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一さんは自身のメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』の中で、ドリンクの設計のヒントを具体的な数値とともに解説しています。
粗利最大化を狙うドリンクの考え方
インフレがどんどん加速する昨今。
お米の影響は多くの業態にありましたし、10月には6%もの最低賃金引き上げ。
つまり「粗利確保」は重要なテーマで、どのようなバランスでPLを作るか。
これこそ経営者の重要な仕事で、モデルPLを変化し続ける必要があります。
そしてこの「粗利確保」で重要なのがやはりドリンクの売上です。
ここの考え方を業態別に見ていこうと思います。
■居酒屋業態
立地にもよりますが、フードとドリンク比率は6:4くらいが最近多い数字です。
一昔前だと5:5くらいでしたが、そこに比べるとやはりドリンク比率が下がっているのを感じますね。
これを交差原価率で見ると印象的です。
例えば原価率を下記とします。
フード :33%
ドリンク:23%
これで売上構成比率が5:5だと、理論原価率は交差原価率で計算すると下記になります。
フード :16.5%=33%×50%
ドリンク :11.5%=23%×50%
理論原価率:28%
これくらいだとやはり収益性は高いですね!
これが売上構成比率が6:4に下がるとどうでしょう?
フード :19.8%=33%×60%
ドリンク :9.2%=23%×40%
理論原価率:29%
仕入価格が上がっていないとしても、売上構成比率が変わるだけで、理論原価率が悪化する訳です。
そして最近の居酒屋業態だと、「モバイルオーダー任せっぱなし問題」がある訳です。
居酒屋だと元々の指標に合わせるべきですが、一人あたり注文杯数は3.0を超えたいところ。
ご支援先でも繁盛店はやはり超えていますし、3.5とかを超えると粗利率も良い感じ。
しかし。
モバイルオーダーに任せっぱなしだと、やっぱり減ってしまうんですよね。
もちろん、どんどん飲む人には便利。しかしもう一杯飲むかどうか悩むお客様。
そこにはやはり「お伺いしますね!」の一言はとても大切な訳です。
これをやらないと一人辺り杯数が減る。そして飲料構成比率が下がる。そして原価率が悪化する。
この図式がずるずる行ってしまい、全品値上げとかをしてしまい客数減とかになる訳です。
そうなる前にしっかりドリンク強化しようよ! これが本来のStep1な訳です。
・売上構成比率を追い続ける
・一人辺り平均杯数をKPIにする
居酒屋においてはこの辺りを大切にしておきたいところです。
この記事の著者・堀部太一さんのメルマガ
■焼肉業態
夜の食事中心業態として焼肉をベースに考えてみます。
ここはやはりフードとドリンクの売上構成比率はガラッと変わり、7:3くらいになります。
例えば原価率を下記とします。
フード :35%
ドリンク:23%
フード :24.5%=35%×70%
ドリンク :6.9%=23%×30%
理論原価率:31.4%
これが仮にドリンクが20%まで下がると、
フード :28.0%=35%×80%
ドリンク :4.6%=23%×20%
理論原価率:32.6%
ここまで原価率は下がる訳です。
食事中心業態と言えども、ドリンクはやっぱり大事ですよね。
ただどこを頑張るか?です。ここは居酒屋のタイムマシン経営です。
そもそも焼肉の平均杯数は2.5杯弱くらい。ビール中心に飲む人はどんどん飲みますが、逆に飲まない人は全然飲まない業種。
つまり、居酒屋のようなお代わり狙いより、確実に1杯目を確保できるかは大事な訳です。
しかし人口の半数以上は飲まない時代。にも関わらず!
焼肉業界のソフトドリンクは古く、ずっと390円のコーラや烏龍茶などなど。
ここは今の居酒屋のドリンクを見てもらい、
・抜栓だけなど手間暇がかからないメニュー
・それでも600円程度得られるメニュー
などなど、確実に1杯目ドリンク確保比率を高め、それの単価を上げていけるかです。
食べ放題系でキッズのドリンク飲み放題もここ。
結局水になるくらいならば、平均2杯くらいのキッズドリンクなので、かなりお値打ちにしても粗利の方が増える訳です。
この辺りが大事になってくる訳です。何もしなければ居酒屋以上にドリンク構成比率は下がってしまう為、しっかり内容を見直したいですね。
■定食業態
ここはそもそも食事だけで原価率ーーー(『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』2025年9月15日号より一部抜粋。続きは、初月無料のメルマガにご登録の上、2025年9月のバックナンバーをお求めください)
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