高市早苗首相が誕生して以降、支持率は70%を超え、安定した船出を見せています。そんななか、外交デビューとなったトランプ大統領との交渉では成果を手にできるのでしょうか。メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さんは今回、10月25日付のニューヨーク・タイムズの記事を抜粋し、貿易協定や関税についての交渉内容に関する予測をピックアップしています。果たして、その予測は当たっていたのでしょうか?
高市首相とトランプ大統領の交渉
高市政権、世論調査の支持率は70%越えで高いようです。
看板の一つは外国人政策です。
不法移民や難民申請への厳しい対応を示唆しています。
しかしながら、日本における不法移民や難民は国際的な水準で見れば驚くほど少ないです。
それでも大きく世論を動かすのです。参政党の躍進をみても明らかです。
振り返って米国。
民主党がとっていたキャッチアンドリリース政策は、不法移民を国境でつかまえても、その場で難民申請すれば米国内に釈放するものでした。
後日に裁判所への出頭を条件としてはいます。しかし出頭するような人は極めて稀です。そのまま米国内に隠れるのです。
バイデン政権下の最初の3年間でそうやって米国に入った不法移民は730万人います。公式発表です。
同じことが日本で起こったらどうなるでしょう?
「トランプを支持する人の気持ちがわからない。騙されているバカじゃないか?」なんて言えますか?
「不法移民(難民申請者)を仮釈放していたら国が崩壊する」と心配するのが普通でしょう。
それを分かりやすく報道しないのですから偏向も極まれりです。
このように書くと「あのトランプを支持するのか」なんて言う人もいますが、「偏向報道を非難する事=トランプ支持」とは限らないのです。
その判断ができないぐらいの強烈な偏向なのでしょう。
閑話休題。それはさておき…
今週にトランプ大統領はマレーシア、日本、韓国の3か国を訪問します。
高市首相にとっての大きな外交デビューになります。トランプ氏は、高市首相に何を要求するでしょうか。
ご紹介するのはニューヨークタイムズの10月25日の記事です。
記事抜粋
トランプ大統領は今週から約1週間のアジア歴訪に乗り出す。これは彼の二期目における初のアジア訪問であり、マレーシア、日本、韓国を訪問した後、中国の最高指導者である習近平国家主席との会談で締めくくられる。
トランプ大統領の2017年以来となる東南アジア訪問は、日曜日にマレーシアの首都クアラルンプールへ向かう。マレーシアとの貿易協定に署名し、自身が仲介したと自負するタイとカンボジアの和平合意を目撃することを望んでいる。
マレーシアからトランプ氏は日本へ移動し、同国初の女性首相である高市早苗氏と会談する。
日本は米国との貿易協定の詳細を最終調整中だ。7月、日本は恐れていた水準より低い15%の包括的関税の代わりに、米国経済に5500億ドルを投入する約束を得た。
両国は最近、貿易協定のいくつかの曖昧な点を解決したが、重要な争点は残っている。日本が5500億ドルの投資・融資・融資保証をどのように展開するか、その詳細だ。
解説
日本による5500億ドル規模の対米投融資計画は、日本円にして約80兆円という巨額のものであり、トランプ米大統領はこの合意を「おそらく史上最大の取引」と表現しました。
トランプ大統領は高市首相に好意をもっていても、この取引を曖昧にすることはないでしょう。また合意に含まれていない農産品の日本輸出の話を持ち出すかもしれません。
記事は続きます。
記事抜粋
韓国では、李大統領がトランプ大統領の訪問中に関税紛争を解決できるかどうかが大きな注目を集めている。
韓国は高関税を回避するため、米国に3500億ドルの投資パッケージを約束する大まかな合意に達した。しかし、詳細を詰める交渉はその後長引き、韓国の主要産業である自動車産業は25%の関税の対象となり、日本や欧州のライバル企業に対して不利な立場に置かれている。
そして木曜日、トランプ大統領は習近平国家主席と二期目初の直接会談を行う。この会談は世界経済にとって最大の懸案事項だ。
おそらくこれまでで最も手強い相手となるだろう。
中国指導者は交渉に際し、世界製造業に不可欠なレアアース鉱物のほぼ独占的供給力を武器に、大きな影響力を行使できる立場にある。
解説
日本訪問後に行われる韓国、そして中国の方との交渉の方にトランプ大統領の主眼はあるでしょう。
トランプ大統領にしてもすべての国と喧嘩するわけにはいきません。日本への要求はあるでしょうが、けんか腰になることはないでしょう。
その意味で高市首相は比較的に有利な外交デビューです。
最終的にトランプ大統領と高市首相はアジアにおける中国の軍事力および経済力の拡大について懸念を表明して、それが今回の訪日後の主要な発表となるでしょう。
この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ
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