トランプのトランプによるトランプのための説明
洋の東西を問わず、思考が幼稚な人って強調したい言葉を繰り返しがちですが、この「Russia Russia Russia hoax」にもそれが現われてますね。就任後にトランプは「地球温暖化などデマだ!」と騒いで「パリ協定」から離脱し、石油について「drill, baby, drill!」と叫びました。日本ではこれを「掘って掘って掘りまくれ!」と訳して報じましたが、英語ではこうしてリフレインの間に「baby」を挟むのも、思考が幼稚な人が多用する「強調」の方法なのです。
トランプは他にも、ジョージ・W・ブッシュなども批判していますが、面白いのは民主党のビル・クリントンが共和党からも支持されたり数多くの表彰を受けたことに対して、「テックブームの助けがあったからだ」とか「不倫スキャンダルがあったのにも関わらず」などと、どこかの姑(しゅうとめ)のように、いちいち「言わなくてもいい一言」を付け加えている点です。
ビル・クリントンの大きな業績の1つであるNAFTA(北米自由貿易協定)に関しても、トランプは「アメリカにとってはマイナス」などと批判した上で「NAFTAなどトランプ大統領が1期目に終わらせるだろう」などと自分で書いているのです。そして「2016年、クリントン大統領の妻ヒラリーは大統領の座をドナルド・トランプ大統領に奪われた!」などと「ビックリマーク」まで付けた自画自賛の一文で締めくくっているのです。
ここまでの流れからも分かるように、ドナルド・トランプという小学生は、自分以外の者が業績を上げたり表彰されることが悔しくて悔しくて仕方ないのです。だから他の大統領の業績や表彰にいちいちイチャモンをつけまくり、挙句の果てには「ノーベル平和賞を受賞した」という理由でバラク・オバマ元大統領をボロクソに批判し、デマまで垂れ流して貶めようと必死なのです。
こうしたトランプの幼稚な人間性を良く理解しているからこそ、今年「ノーベル平和賞」を受賞したベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏は、自身のSNSに「この受賞をトランプ大統領に捧げる」と投稿したのです。そして、トランプに電話して「あなたこそ本当に受賞に値します。私はあなたに敬意を表しつつ受賞します」などとオベンチャラまで言ったのです。
ま、マチャド氏に関しては、イスラエルによるガザでのジェノサイドを支持したなど問題点も多いですが、ここで触れるとテーマから脱線してしまうので、取りあえず「今や全世界がドナルド・トランプという小学生の顔色をうかがいながら生活している」という異常な状況のみ報告しつつ、話をクルリンパと「ウォーク・オブ・フェーム」に戻しましょう。
今回の歴代大統領の肖像画に添えられた説明板が「トランプのトランプによるトランプのための説明」であることが顕著なのが、200年近くも前の第7代大統領、アンドリュー・ジャクソンの説明板です。ここには「ジャクソン大統領はメディアから不当に扱われたが、後のリンカーン大統領やトランプ大統領ほどは不当ではなかった」…って、何ですか?これ。
ようするに、トランプは自分がメディアから不当に扱われてるってことが言いたいわけですが、そのために200年近くも前の大統領まで利用するとは、もはや厚顔無恥を超越しています。そして、そんな「俺様ナンバーワン」ですから、自分の説明板は自画自賛の嵐なのです。その上、トランプは第45代と第47代の大統領をつとめているので、肖像画も2枚だし説明板も2カ所に設置できるという特典付きなのです。
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