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「借りない経営」は本当に可能なのか?金融に依存しない資金繰りを本気で考える

中小企業の経営において、「資金繰り」は常に最大の課題の一つとされてきました。多くの企業が金融機関からの借入を前提に経営を組み立てる一方で、金融に依存しすぎることのリスクもまた見過ごせないものです。メルマガ『『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』の著者である吉田さんは、今回、ある中小企業経営者の実体験をもとに、借入や投資に頼らず、事業活動そのものから資金繰りを安定させるための考え方と実践例を紹介しています。

金融に依存しない資金繰りを、死に物狂いで考える

中小企業は資金繰りといえばついつい金融機関頼みになりがちですが、それは決していいことではありません。

かといって、大企業のようにエクイティファイナンス(投資家から資本を募って自己資本を強化する系の資金調達)を実行できるほどの信用力も将来性も無いのが大多数の中小零細企業の現実ですから、そういったことではない、何か「仕組み」を考えなければなりません。

直接金融でも間接金融でもない、金融に依存しない資金繰りを。資金繰りに困らない仕組みづくりを。

そのための基本は、

1.黒字体質を築き上げる(たとえ売上が低くても黒字)

2.運転資金のかからない体質づくり(在庫や売掛金の最適化など)

3.設備投資でキャッシュがいっぺんに出て行かないようにすること

だと思います。

たとえば、「キャッシュフロー計算書」という、中小企業にはあまり馴染みのない財務諸表がありますが、これを構成する営業キャッシュフローと財務キャッシュフローを上げれば、おのずとフリーキャッシュフローが良くなり、資金繰りに困らない体質とみなされ、金融機関や投資家からの評価が高くなるのですが、これを実現するためには、「売掛金の回収を早くする」「在庫の回転を早くする」「買掛金の支払いを遅くする」「利益を出す」「設備投資に過大な資金を投入しない」「もし設備投資する場合は現金一括で払わない」 などを積み重ねる必要があります。

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もっとわかりやすい例を挙げましょう。

【失敗事例】

私はサラリーマンを辞めて家業を継いだ29歳から32歳頃までの間、借金苦だけでなく、慢性的な運転資金不足に悩み続きました。

1998年から2000年までのことです。

借金問題が片付いた後も、それは続きました。

当時の本業は、食品の輸入が全売上の8割以上を占めていました。

海外から食材を仕入れ、日本国内で在庫し、検品、容器充填、ラベル貼り、再度の検品、梱包、納品、そしてそこから納入月末締め翌月末起算xx日払い……と、仕入れてから代金回収するまでに、早くても半年以上はかかっていました。

自社ブランドで販売するなど、利益率が少しでも上がるよう工夫し、売上と利益率はどんどん改善していきましたが、いかんせん在庫と売掛金が重すぎます。いっぽうの仕入代金は、相手が海外ですので、比較的早めのサイトで支払わなければなりませんでした。

こんなビジネスモデルのままでは、いくら利益率を上げても、資金繰りが追いつきません。

当時の私は多重債務から脱出したばかりで、ブラックリストに載っており、金融機関からの信用を完全に失っていたので、なおさらです。

悩みました。何をやっても資金繰りがいっこうに楽にならない……

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【そこからの改善】

そんなわけで、私は個人的に、「仕入れること」「在庫すること」「長い売掛金」がトラウマのようになってしまいました。

加えて、我が家はだいぶ前から車やFAX機などをよくリースで契約しており、この支払いも大変苦しい思いをしたので、ローンやリースにも軽いトラウマのようなものを感じていました。

その結果、以下のような思い切った方向転換を試みました。

1.輸入で苦しんだので、輸入と逆のこと、つまり、輸出もやる。

2.輸入で利益を出し、輸出で資金繰りを改善する。

3.在庫は必要最低限に。

4.買掛金支払いサイトを1か月長くしてもらうよう交渉。

5.その他、運転資金のかからない体質を徹底。

6.ローンやリースは組まない。

どういう事かというと、

1.輸出は輸入と比べると、代金回収が早い傾向があります。いや、それどころか、海を隔てた相手にモノを売るわけなので、「前金でください」と要求することもできます。私の場合、前金で日本のモノを売りました。あえて薄利で。これにより、資金繰りが劇的に楽になってきました。

2.輸入はそこそこの利益率をキープできましたが、やればやるほど運転資金(在庫や売掛金)に圧し潰されそうになるので、あえて輸入部門を減らし気味にし、輸出と輸入のバランスを意識しました。金融に頼らず資金繰りを回していくために。

3と4は、海外の仕入先との交渉によります。

5と6は本当に徹底しました。たとえば、当時はFAXの時代でしたが、FAXの複合機は中古のものをオークションで買い、もちろん保守契約など結ばず、故障した際にはスポットで出張修理してくれる業者さんを見つけました。車もローンやリースをせず、買い替えの際にはオークションや個人売買で中古を買い、故障すればできるだけ自分で直し、直せない場合は街の修理屋さんに依頼し、また車検のときは自分で陸運局へ持ち込みました。これでかなり維持費が削減できました。(意外にも時間や労力はさほど奪われませんでした)

私は金融による資金繰りを否定するつもりはありません。

ただ、何らかの事情で、金融による資金繰りが突然できなくなる場合がありますから、不測の事態に備えるという意味でも、金融に依存しない資金繰りを再考する必要はあると思います。また、純粋に経営という観点でも、営業活動によるCFを上げ、財務活動によるCFに依存せず資金繰りを回していくことは、非常に健全な考え方であるとも考えます。

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image by: Shutterstock.com

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事業再生コンサルタント。認定事業再生士(CTP)。特に倒産寸前の中小企業、零細企業、自営業の自力再生(のサポート)を最も得意としています。著書『震災後に倒産しない法』(サンマーク出版)、『借金なんかで死ぬな!』(朝日新聞出版)、『連帯保証人 なってみたらすごかった でもまだ手はある』(ワニブックスPLUS新書)、『ブラックリストなんて怖くない』(宝島社)、『働けません。』(三五館)ほか多数。1968年東京生。乙女座A型。趣味は自転車、魚釣り等。無類のネコ好き。

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【著者】 吉田猫次郎 【月額】 ¥528/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 10日・20日・30日 発行予定

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