「日本人の死者ゼロ」だからニュースにしない?アフリカで5千人が死亡した“エボラ出血熱禍”を報じぬ国内メディアと外国人観光客を入れ続ける政府の能天気

 

国境も検疫もすり抜ける感染者。浮き彫りになる水際対策の限界

今回、海外の報道を片っ端からチェックしていたら、10月にケニアで確認された感染者についての詳細を報じているCNNの記事を見つけました。その記事によると、この感染者は、もともと発生国のコンゴに住んでいたケニア人で、すでに感染して体調が悪化していたため、コンゴの複数の病院で治療を受けていたそうです。そして、ケニアの実家に帰るため、東に隣接するウガンダの首都カンパラまで陸路で移動し、エンテベ国際空港からケニアの首都ナイロビ行きの航空機に搭乗し、10月3日にナイロビのジョモ・ケニヤッタ国際空港に到着し、自宅に帰ったそうです。

しかし、自宅で急激に体調が悪化したため、家族がすぐにナイロビ市内の病院へ搬送しました。感染者は、発熱、悪寒、激しい疲労感、脱力感、筋肉痛、嚥下痛、皮下出血などの症状があり、医師はウイルス性出血熱と診断し、すぐに隔離され、エボラ出血熱の治療をスタートしました。しかし、2日後の10月5日午後11時30分、死亡してしまったのです。ケニアの保健当局は、この感染者と接触した家族や医療従事者の計28人と、カンパラからの航空機に同乗していた23人を特定し、隔離措置を取ったそうです。

このケースで最大の問題は、コンゴでエボラ出血熱の感染が分かり、症状が出て複数の病院で治療を受けていた感染者が、どうして自由に他国へ移動することができたのかという点です。それはこの感染者の経路を見れば分かります。コンゴには首都キンシャサのヌジリ国際空港を始め複数の国際空港がありますが、エボラ出血熱の感染者は出国できません。そこで、この感染者は隣国ウガンダの首都カンパラまで陸路で移動して、ここから空路を使ったのです。

到着したケニアの首都ナイロビのジョモ・ケニヤッタ国際空港では、入国の過程で通常の検疫が行なわれたのですが、何故だか通過できてしまいました。この件について、ケニア保健省のパトリック・アモス保健局長は「彼が服用していた薬が発熱などの症状を抑え込み、検疫の目をすり抜けた可能性がある」と述べています。ここで初めて「He(彼)」という言葉が出たのは、あたしは感染者が男性だったと知りました。

現在、感染が拡大しているコンゴは、日本の6倍以上の面積の国土に、約1億800万人が暮らしています。日本は47都道府県ですが、コンゴは26州なので、1つ1つの州が日本の県の10倍以上の大きさです。その26州のうち、現在までに感染者が確認されているのは8州だけです。それでも、わずか半年で1万人以上が感染し、5,000人以上が死亡しているのですから、このまま他の州へと感染が広がれば、収束の目途など立たなくなるでしょう。

コンゴにも鉄道はありますが、新幹線のような高速鉄道はなく、日本が支援の一環として贈った日本のお古のディーゼル車が走っているような鉄道なので、広いコンゴではとても時間が掛かります。そのため、コンゴでは州から州への移動は空路が一般的で、全国には大小ふくめて230を超える空港があるのです。しかし、数カ所の国際空港以外は、検疫の甘い空港も多いようで、小型旅客機に乗り合わせた人同士の感染も危惧されています。

そして、何よりの不安材料は、人手不足で対策がまったく追いついていないという点です。感染拡大を止めるためには、感染者と接触した人たちを隔離するしかありませんが、人手不足で感染者と接触した人たちの追跡調査がほとんど進んでいないそうなのです。さらには、医療施設も救急車も不足しているため、多くの感染者が病院以外の場所で死亡し続けているのです。

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