アメリカ野球殿堂入りのイチローが教えてくれた、キャリア終盤の人に刺さる「働き方」のヒント

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イチローがアメリカ野球殿堂入りを果たし、クーパーズタウンで行った英語スピーチを聞いた健康社会学者の河合薫さんは、深く感銘を受けたといいます。河合さんは自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で今回、イチローの言葉を手掛かりにこれからの働き方や成熟した大人としてのあり方について考えています。

イチローさんが教えてくれたこと

アメリカ野球殿堂入りの表彰式典が野球発祥の地として知られるニューヨーク州クーパーズタウンで行われ、日本選手で初めて殿堂入りしたイチローさんが英語でスピーチをしました。

リアルタイムで聞きましたが、イチローさんらしいウィットに富んだ自分の言葉で紡がれた“温度の高い“内容でした。

「夢と目標の違い」「野球はただ打って投げるだけではなく、なにが大切かを教えてくれた私の人生の土台」「毎日必ず道具を磨き続けた。自分の責任をちゃんと果たすため」など野球=仕事への向き合い方は働くという行為が「自分の存在」にとってかけがいのないものであることを教えてくれます。

「マイアミマーリンズなんて正直なところ知らなかった」とジョークを飛ばしながらも、「40代半ばになっても若く才能あるチームメートたちに囲まれて戦った経験は、私を選手としてさらに成長させてくれた」というフレーズは、学び続けることの大切さを説いたものでした。

イチローさんの“最強のチームメイトだった奥さん“へメッセージは感動的でしたし、「ここにくることを目標にしたことは一度もない。でも今ここにいることは夢のようで最高です」と、スピーチをしめくくった時のイチローさんの表情はとても素敵で、心の底から「おめでとうございます」と言いたくなりました。

素晴らしかった、感動した! これぞ「イチロー!」です。

スピーチ全体は次世代につながる「ジェネラティビティ」に満ちた内容でしたが、以下のフレーズは「私」たち中高年のキャリア最終章の働き方の参考になります。

I was searching for something that I could not find. In the middle of my internal struggle, something historic happened. Hideo Nomo became the first major leaguer from Japan in my life time. His success inspired many, including me.

「(オリックス時代に悩んだ時期)私は何かを見つけようとしていましたが、答えが見つかりませんでした。苦悩が続いていた時期に歴史的なことが起こりました。野茂英雄さんが日本からメジャーに移籍したのです。彼の成功は多くの人を感激させ、勇気づけ、私もその中の1人でした」(河合訳)

野茂さんがいたからイチローさんがいて、イチローさんがいたからメジャーで活躍する選手たちがいる。それは日本のプレイヤーだけではありません。パワーが圧倒するメジャーリーグで、「やせすぎ」と揶揄されたイチローさんが、頭を使い、知恵を絞り、チームのために自分の責任を果たす仕事をやり続けたことで「自分にもできるかもしれない!」と鼓舞されたプレイヤーたちがいる。自分ががんばることで励まされる人がいる、自分みたいになりたいと思う人いる、これってすごいことだと思うのです。

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