楽天モバイルがいよいよ契約数1000万突破を目前に控え、成長の勢いを加速させています。しかし、その成長の裏で鍵を握るのは、2026年9月末に満期を迎えるKDDIとのローミング契約のようです。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは自身のメルマガの中で、注目を集める両社について語っています。
1000万契約が見えてきた楽天モバイル―-2026年9月末、KDDIのローミング契約は更新されるのか
楽天グループは2025年8月8日、決算会見を行った。
楽天モバイルの契約数は直近で910万契約を超え、年内にも1000万回線突破が見えてきた。
面白いのが、全回線平均で1日1GBのデータ使用量が、なぜか2025年1~3月に開通した人のデータ容量は平均よりも15%多く、1日1.2GBなのだという。楽天モバイルとしては、今後のARPU上昇ドライバーになるとみている。
個人的に気になるのが、やはりネットワークだ。楽天モバイルでは「Opensignalの調査で携帯電話の接続がなかった時間の割合が大幅に改善し、他社と同程度になっている」とアピール。また、年内には1万局を超える基地局新設を計画中で、7月時点で2930局の設置が完了しているとのアナウンスがあった。
いよいよ、KDDIとのローミング契約が2026年9月末で切れることとなる。実際、KDDIの楽天モバイルからのローミング収入は四半期ごとに減少しているのは明らかだ。
しかし、昨年同期比で見ると、MVNO収入(ローミングを含む)は13億4100万円程度しか減っていない。先日、発表のあった決算でも2026年第1四半期には136億円のMVNO収入(ローミングを含む)も計上されている。
一時期に比べて減ったとは言え、楽天モバイルがKDDI網にいまだに依存している状況がよくわかる。
楽天モバイルとしては、まずは1万局の基地局で穴を徹底して埋める。
さらに、なんとかASTを2026年第4四半期から前倒しして、KDDIローミングが切れるタイミングまで持って行き、「圏外をASTでカバー」というのを狙っているのだろう。ASTから吹く電波をプラチナバンドにすることで、効率良く全国を網羅したいはずだ。
悩ましいのがKDDIだ。
ネットワーク品質をウリにする松田浩路社長とすれば、楽天モバイルへのローミングを切れば、ネットワーク品質が明らかに低下するだけに、KDDIの優位性をアピールすることができる。
しかし、年間、数百億円のローミング収入を放棄するというのももったいない。
果たして、KDDIと楽天モバイルはローミング契約を更新するのか2026年9月末で打ち切るのか。
両社の腹の探り合いがどのような結果を招くのか。楽しみでしかない。
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