9月7日に緊急記者会見を開き、自民党総裁を辞任する意向を表明した石破茂首相。党内で高まる「石破おろし」に屈した形となってしまいましたが、識者はこれをどう見たのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、政権与党の長として解決すべきだった課題を挙げるとともに、そこから逃げた石破氏の姿勢を強く批判。その上で「絶望」にも似た自身の本心を吐露しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:な~んだ、この程度だったんですね、石破さん/自民党をブッ壊すことを辞さない改革者かと期待したのに
プロフィール:高野孟(たかの・はじめ)
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。
な~んだ、この程度だったんですね、石破さん。自民党をブッ壊すことを辞さない改革者かと期待したのに
石破茂首相は7日記者会見し、総裁選前倒しへの賛否を問う意思確認に突き進めば「党内に決定的な分断を生みかねず、それは決して私の本意ではない」との理由で、退陣を表明した。
本日、自由民主党総裁の職を辞することといたしました。 pic.twitter.com/eu87u3ovsz
— 石破茂 (@shigeruishiba) September 7, 2025
石破は2日の参院選総括を受けた両院議員総会で、「党内融和に努めてきた」結果、「石破らしさを失ってしまった」と、正しいことを言っていた。
参院選敗北の最大の原因は、派閥ぐるみの裏金捻出システムに象徴される薄汚い金権体質に対する有権者の肌で感じる嫌悪感にあった。それを払拭するには、旧安倍派を中心とする守旧派と対決することを辞さずに、その実態を解明して再発を完全遮断するとともに、さらにそれを企業団体献金の禁止にも繋げていって、「ああさすがに石破だ。政治とカネの問題でようやく自民党は変わり始めたんだ」と思わせることが大事だった。
ところが石破は、旧安倍派と全面対決する腹構えがなく、「党内融和」の美名に隠れてそこから逃げてしまった。2日の発言は、「だからこそ、その反省に立って今度こそ党内分断も辞さずにやるべきことを断固としてやり遂げる覚悟なので、何が何でも続投したい」という風に続くべきだった。が、7日の石破は再び「党内融和」優先、すなわち旧安倍派的な汚濁との妥協と言うよりそれに敗北して自分の方が身を引くと逃げてしまったのである。
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