Netflixがワーナーブラザーズの買収に動いた。これは、単なるエンタメ業界の大型ニュースとして片づけていい話ではない、とメルマガ『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』の著者・吉田さんは話します。映画館と「家のソファ」で見る作品の違いがなくなり始めてしまったことに驚きながら、大きな転換点である現在と近く訪れる未来について語っています。
Netflixがワーナーブラザーズを買収して見えてくる未来予想
映画館で観るべき作品と、ソファに座って観る作品。
かつての僕らは、その二つを無意識に分類していた。しかし、もし世界最大の動画配信企業が、老舗映画スタジオを丸ごと飲み込んでしまったら・・・。
その瞬間、エンターテインメントの「重力」は変わるということ。
作品が生まれ、届き、評価されるまでのすべての流れが、まるで大地が裏返るように再編されていくんじゃないかと思ってしまう。
今回のNetflixによるワーナーブラザーズ買収は、単なるM&Aではない。
これは “文化インフラそのものの書き換え” であり、僕らの暮らし、感性、思考のあり方にまで影響する、大きな転換点なるかもしれないという妄想も含めて書いてみた。
未来をひとつずつ、じっくりと解きほぐしていきたいと思う。
1. 史上最大級のメディア統合が意味するもの……とは?
まず、ちょっと調べてみると、Netflixとワーナーという二者は、文化的背景がまったく異なるということがよくわかる。
Netflix
・IT企業
・アルゴリズムとデータを武器にする
・“観られる作品”を最適化し続けるプラットフォーム
ワーナーブラザーズ
・100年の歴史を持つ映画スタジオ
・物語文化の象徴
・ハリー・ポッター、DCユニバース、HBO作品など、圧倒的コンテンツ資産を持つ
これまで、スタジオは作品を作り、配信企業は届けるという関係性が成り立っていた。しかし今回の買収で、制作→配信→視聴データ→再制作の一連の循環がすべて1社の中で完結してしまうではないか。
これは自動車メーカーがガソリンスタンドを買収し、道路も自分たちで作り始めるようなもの。
市場全体の構造が根底から変わるのだ。
2. “制作から配信まで”を一社で完結する時代へ
この買収により、Netflixは破壊的な力を手に入れた。(手に入れてしまった)
ワーナーのIP(知的財産)は、世界中にファンがいる。ハリー・ポッター、バットマン、ジョーカー、ロード・オブ・ザ・リング……。
これまでは、それぞれ映画館やテレビシリーズとして「期間限定」で視聴者と接触するものだった。しかしNetflixに統合された瞬間、IPは“永続的な育成対象”に変わる。
つまり、「長期的に育て、世界中の視聴データを使って最適化し続ける巨大フランチャイズ」となっていくのである。
映画会社では難しかったことも、Netflixにはできる。
なぜなら、視聴者がどこで作品を見るのか、何を好むのか、どのシーンで止めるのか、すべてリアルタイムにデータ化されているから。怖いくらいに。
もはや作品制作は職人だけの勘やセンスで行うものではない。文化もデータで運用される時代に入ったのだ。
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