米中首脳会談では、貿易や安全保障をめぐる交渉だけでなく、両国首脳が交わした「お土産」にも注目が集まりました。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では、著者で国際政治経済学者の浜田和幸さんが、米中首脳会談で交わされた「白頭鷲」と「パンダ」をめぐるエピソードから、中国が長年続けてきたパンダ外交と、その経済的な側面について考えます。
米中首脳会談の裏舞台:パンダvs白頭鷲の駆け引き
ぶっちゃけ、世界の注目を集めた米中首脳会談は、双方が勝利宣言をしたものの、さしたる成果はありませんでした。
そんな中、人知れず話題となったのは、トランプ大統領と習近平国家主席の「お土産合戦」でした。
トランプ大統領は国賓待遇で招いた習近平夫妻の歓迎夕食会の席で、アメリカの国鳥である「白頭鷲」の彫り物を中国側にプレゼント。
曰く「この鷲の彫り物は自分とメラニア夫人のアイディアに基づき製作された貴重な飾り物だ。中国の最も相応しい場所に飾って欲しい」。
習主席夫妻もご満悦の様子でした。
一方、習主席は2頭のパンダを米南部ジョージア州のアトランタ動物園へ新たに貸与すると表明。
中国の得意とする「パンダ外交」に他なりません。
2頭のパンダは「平平(ピンピン)」と「福双(フーシュアン)」と命名されています。
オスの「平平」の名前は「習近平」から取ったものでしょう。
日本からはパンダはいなくなりましたが、中国のパンダは世界各地で人気を博しています。
今回新たに2頭が貸与されたことで、アメリカには既にワシントンとサンディエゴの動物園に4頭がいるため、計6頭のパンダがいることになりました。
実は、白頭鷲とパンダの戦いはビジネス上ではパンダの圧勝でしょう。
なぜなら、2頭のパンダの貸与期間は10年間ですが、その間、つがいの2頭の賃料は年間100万ドル、即ち年間1億6000万円の賃料をもたらしてくれるのです。
公式には「野生ジャイアントパンダ保護への協力金」という名目ですが、通例として世界の動物園は高額の賃料を中国側に支払う契約となっています。
日本にも当てはまりますが、これは「プレゼント(贈与)」ではなく、ワシントン条約に基づく「所有権が中国に残った状態でのレンタル」です。
しかも、子供が産まれた場合には年間数十万ドルの追加レンタル料が請求されます。
もしパンダが死亡した場合には、それが過失によるものでなくても、50万ドル程度の補償金を中国に支払うのが通例です。
トランプ大統領のプレゼントした白頭鷲は何ら金銭的な見返りは発生しませんでしたが、習近平国家主席のレンタルパンダは今後10年で16億円の賃料をもたらしてくれます。
ぶっちゃけ、米中休戦の象徴との見方もできますが、強かな中国式ビジネスの典型とも言えそうです。
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