製薬会社の「接待」規制、その後も抜け道だらけという実情

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MRという職業をご存知でしょうか? MR(Medical Representatives)は、医薬品メーカーの「医薬情報担当者」のことで、病院などの医師に医薬品を紹介して販売する医薬品メーカーの営業部門に属する人のこと。現役MRの辻さんが医療機関や医師、製薬会社の裏事情を伝える『製薬業界の裏側がわかる現役MRメルマガ』では、製薬会社による医師への接待事情について赤裸々につづっています。

製薬会社の現在の接待事情

こんにちは。現役MRの辻です。

製薬会社に入社すると接待が忙しすぎて、大変なのでは?

という疑問を持たれている方もいらっしゃると思います。

では、2015年11月現在における接待事情を解説していきます。

私が入社したのは今から3年半前の2012年4月です。

この2012年4月というのは、製薬業界における接待の大規制が入った月です。

ですので、私は入社してから厳密には接待をしたことがありません。

今までは、「先生、飲みにでも行きますか」みたいな感じで、製薬会社のお金で先生と飲みに行けたらしいです。

さらにその一昔は2次会も会社負担で行けたみたいですし、タクシーチケットもバンバン出していたみたいです。

タクシーチケットというのは、タクシーを利用した際に、現金ではなくチケットで支払いを行う事ができる乗車券のことです。後で会社に請求が来ます。それは今でもありますが、基本特別なイベントがあるときにしか使えません。

つまり昔は1次会で美味しい寿司屋にでも行って、2次会で高級キャバクラクラブに行って、最後にタクシーチケットを渡して帰ってもらう。みたいな感じだったそうです。

では、今はどうなのか。

今は製薬業界において「接待」という言葉はなくなったことになっています。

ただ、接待とほぼ同じことは不可能ではないです。

その方法の一つとして先生に講演をしていただいて、その後に「慰労会」という形で飲みに行けます。

講演と聞くとホテル等の会場を借りて、何人かの聴講者を集めて担当の先生に講演していただく……。というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。

そういった場合もあります。自社製品やその疾患や周辺情報を理解していただくために講演会を開催することも多くあります。というか今はそれが乱立しています。

ただ、その場合は講演会終了後に大体の割合で、「情報交換会」という名の立食パーティーみたいなものがあります。

パーティーというほどのものではないですが、立食とお酒もついて来るので、仲がいい先生方がわいわい会話をしている感じです。

そこにMR達がお酌をする……。

こういったものもありますが、あまり接待という感じはしませんよね?

まぁ接待がなくなった今では先生と仲良くなれるいい機会ではありますが、接待ほどのパンチ力はないように感じます。

ではどうやって接待もどきをするのか

それをする1つの方法として社内講師というものがあります。

社内講師とは、会社に先生を呼んで、講演していただく、というものです。まぁプチ講演会みたいな感じです。

社内講師なので、聴講者はその会社の社員の人たちです。

ただ、ある大きな製薬会社では、小さな講演会だったら、会社内の大きな会議室を使って講演会をするところもあるみたいですが、大体の社内講師は聴講者は社員のみで、先生1人で講演していただく、というような形をとります。

社内講師ですが、これも各社呼び方が様々で、外来講師、社内講演会、社外講師、レクチャーミーティングと呼ぶ会社もあるみたいですが、どれもほぼ一緒です。

病院の先生だけでなく、その辺のクリニックの先生や、病院の薬剤師、臨床工学技士等の方も講演することもあります。

大体1時間くらい講演していただいて、謝礼金を払って、そのあとに講演の「慰労会」という名の接待に行くわけです。

つまり先生は謝礼金3~7万(高い人は10万以上)をもらって、なおかつ美味しいご飯を食べに行けるということです。

例として診察が終わって19時~20時で講演していただいて、終わって大体20時15分くらいから接待スタートという流れです。

上限金額は1人2万円までなので、先生、所長、MRと3人で行くパターンが多いのですが、それだと6万円までOKなので、そこそこいいお店に行けます。

こういったイベントの時はタクシーチケットが使えます。ただ、講演会等がないとタクシーチケットは基本使えません。

講演の内容も様々で、自社製品の使用経験を講演していただいたり、ある疾患に関して講演していただいたり、症例報告を提示してもらったりと、本当に様々でいろんな講演を聞いてきました。

中でも面白いのが、先生がプライベートで行った旅行の動画を延々と流して終了の場合もあれば、どうでもいい写真をひたすら解説する場合もあります。

1時間と書きましたが、中には30分とか40分で終了して、残りの時間は聴講している社員が沢山質問して、なんとか時間を潰すパターンもあります。

別に1時間という決まりはないですが、接待するお店の予約時間の関係とかもあり、大体1時間が多いです。

こうすることで、「慰労会」という名の接待が未だにありますが、結構面倒なので、やはり数は2012年4月以前より減ったそうですね。

なので、最初に申し上げた接待が忙しすぎて大変ということはほぼありません

経費の上限も各社少なくなってきているので、せいぜい半年に1~3回くらいだと思っていいです。

以上、製薬会社の現在の接待事情でした。

 

■本日の出来事

今日は得意先のゴルフコンペが近づいてきたので、

少し仕事をサボって景品を買いに行ってました。(笑)

時間を自由に調整できるのが、MRのいいところでもあります。

明日は仲のいい薬局の社長と飲み行ってきます。

 

image by: Shutterstock

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