2020年上半期の生命保険会社各社の決算状況が出揃いました。どの保険会社がどれだけ売れたのか?コロナ禍での健闘ぶりが見えてきます。(『奥田雅也の「無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ」』奥田雅也)
※本記事は有料メルマガ『奥田雅也の「無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ」』2020年7月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
事業(医業)経営に関する生命保険・損害保険活用術に精通し、過去20数年間で保険提案した法人数は2,500社以上。現在は大阪を拠点として保険代理店経営・保険営業を行うかたわら、年間60回程度の講演や、業界紙・本などの執筆、コンサルティング業務を展開中。著書に『ここから始めるドクターマーケット入門』(新日本保険新聞社)『法人保険販売の基礎』(電子版・保険社)など。
2020年、どの保険会社がどれだけ売れたのか?
2020年上半期の生命保険会社各社の決算状況が出揃いました。詳しく確認されたい方は、生命保険協会HPにてご確認ください。
その中から私は、新契約ANP(年換算保険料)に注目しました。
新契約ANPは、保険営業が獲得した契約のうち量を表す指標として分かりやすいので、「どこの保険会社がどれだけ売れたのか?」を確認するには良い指標だと思っています。
その集めたデータを表にまとめてTwitterにアップしましたので、詳細は下記の画像をご確認ください。
こんなものを作ってみましたのでお暇つぶしにどうぞw
【主要生命保険会社 上期新契約ANP比較表】 pic.twitter.com/GDtsW4PuOI— 奥田雅也(FPイノベーション代表・RMCA理事) (@Masayaokuda) January 5, 2021
2018年との比較で各社の勝ち負けが見えてくる
ポイントは2018年との比較です。
2019年度は2019年2月のいわゆる「バレンタインショック」で法人系商品が売り止めになっていた時期で、2020年度は緊急事態宣言による営業自粛があった時期です。
その前の2018年は、いわゆる法人向け商品で全損商品がバンバン売れていた時期ですから、ある意味ではピークと比較の方がおもしろいかと思いピックアップしました。
2020年度上半期において、2018年度上半期より新契約ANPを減らした保険会社を順番に書いていきます。
1位:かんぽ生命 −91.9%
2位:ネオファースト生命 −90.6%
3位:大樹生命 −65.8%
4位:エヌエヌ生命 −64.9%
5位:第一生命 −61.7%
6位:アフラック −56.1%
7位:大同生命 −54.5%
8位:東京海上日動あんしん生命 −53.2%
9位:三井住友海上あいおい生命 −52.5%
10位:マニュライフ生命 −51.9%
ここまでが、業界平均の減少幅「−51.9%」を上回って減った保険会社です。
こうやって並べてみると、特徴がありますね…。1位の「かんぽ生命」は違う要因なのでちょっと除外しますが、各社について要因を分析していきます。
Next: 傷口が大きいのはどの保険会社? コロナ禍で業績を伸ばした企業も
傷口が大きいのは、あんしん生命・あいおい生命の損保系2社
以下は、明らかに法基通改定の影響を大きく受けています。
2位 ネオファースト
4位 エヌエヌ生命
7位 大同生命
8位 あんしん生命
9位 あいおい生命
10位 マニュライフ生命
なおエヌエヌ・大同・マニュライフは緊急事態宣言が出た2020年は前年比より少し戻していますので、いかに2018年から2019年の落ち込みが激しかったかがわかると思います。
それ以外のメーカーで言えば、
3位:大樹生命
5位:第一生命
6位:アフラック
あたりは法人向け商品にそれほど優位性がないので、法基通改定の影響ではなく、2020年の営業自粛がモロに影響しているということなんでしょうね…。
7位の大同生命も、直販社員さんがおられますが、2019年よりは盛り返しているのは、営業自粛中の直販社員さんじゃなく会計事務所チャネルが積極的に法人向けに保障商品を販売した結果なのではないでしょうか…?
意外(?)に傷口が大きいのは、あんしん生命・あいおい生命の損保系2社です。法基通改定で減らしたうえに、営業自粛でダブルパンチを受けてしまったような印象を受けます。
かと思えば、同じ損保系でも「ひまわり生命」も減らしてはいますが、あんしん・あいおいに比べるとそれほど減らしておらず、逓増定期(契約から保険期間満了までに保険金額が増加していく定期保険)という飛び道具のおかげなんでしょうかね…?
直販系が強い保険会社は
あとおもしろいのは直販系が強い保険会社で、以下のようになっています。
・ジブラルタ生命
2018年度比−36.4%
2019年度比−13.2%
・ソニー生命
2018年度比−33.8%
2019年度比−31.4%
・プルデンシャル生命
2018年度比−2.0%
2019年度比+8.9%
・メットライフ生命
2018年度比−49.5%
2019年度比−35.4%
一番キツイのはメットライフで、法人向け商品が売れなくなり、営業自粛で直販も売れなかったという状況に見えます。
ソニー生命とジブラルタ生命を見ていると昨年の影響はそれほど大きくはありませんが、2020年の営業自粛が影響しているあたりに、代理店ラインよりも直販ラインがメインの保険会社であることがよくわかります。
それで見ると、やはり「プルデンシャル生命」はちょっと底力が違う感じがしますね。法基通改定の影響もわずかに受けましたが、2020年のコロナ禍において2018年よりも新規ANPを伸ばしているあたりに凄さを感じます。
あと地味(?)に健闘しているのが、オリックス生命。課税繰延商品がほとんどなかったので
法基通改定の影響はなく、昨年のドル建終身の訂料前の駆け込みで業績を伸ばしたのがよく分かります。
Next: 2018年と2020年のANP上位企業を比較すると?
2018年と2020年のANP上位企業比較
最後に2018年と2020年のANP上位企業を比較します。
<2018年度>
1位:かんぽ生命 1,845億円
2位:日本生命 975億円
3位:明治安田生命 700億円
4位:ネオファースト生命 585億円
5位:メットライフ生命 584億円
<2020年度>
1位:日本生命 533億円
2位:明治安田生命 401億円
3位:プルデンシャル生命 347億円
4位:メットライフ生命 295億円
5位:住友生命 269億円
いろんな意味で流石ですね…。
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※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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