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「東京五輪中止なら大不況到来」の大ウソ。いつ中止決断でも問題なし、すでに景気は壊滅状態=今市太郎

英国タイムズ紙が東京五輪中止を報じたことが物議を醸しています。菅政権はいつ決断するのか。五輪中止なら大不況到来との予測もありましたが、すでに経済ダメージは受けており、五輪中止はその引き金にはならない状況です。中止の判断は早いに越したことはありません。(『今市的視点 IMAICHI POV』今市太郎)

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東京五輪2032年への延期を伝える海外紙

英タイムズ紙は日本時間22日の未明、「日本政府はすでに東京五輪の開催を断念している」との記事を出しました。その内容は、非公式に与党の関係者が中止を決定し、2032年に改めて開催を目指すというもの。この記事が各所で大きく取り上げられています。
※参考:Japan looks for a way out of Tokyo Olympics because of Covid – The Times(2021年1月21日配信)

まぁ誰が見てもこのタイミングで開催できるわけはありませんので、最後は首相なり小池都知事の決断が重要な局面となっています。

東京五輪中止でも開催でも経済ダメージは変わらない

コロナ感染が激増してしまった今、無理やり開催しても経済効果は大きくなるはずもなく、余分なコストをかけるよりも中止することのほうがはるかに効果的な状況です。

2020年も年初から春にかけて、東京五輪開催中止となった場合、国内は大不況が訪れてトンでもないことになるといった記事がレガシーなメディアやネットの記事に踊って、かなり話題となりました。

しかし、今となってはすでに大不況に陥っており、五輪中止が引き金になる可能性は極めて低いのが現実となってきています。

そもそも、足元では無観客開催や相当制限したプログラムの実施ということで、無理やりにでも実施する強硬案が打ち出されはじめていますが、これのどこの経済的な効果があるのかは疑問です。

当初に期待したような直接的効果も薄れましたし、損失算定当初からよくわからなかった実施後の「レガシー効果」などについては、ほとんど誰も口にしなくなってしまいました。

この状況を考えますとできるだけ早期に開催断念することがもっとも国民にとってプラスになる判断であることは間違いない状況です。

Next: すでにインフラ系の投資は完了。湾岸のタワマン販売も絶好調?



実施しなくてもインフラ系の投資はすべて完了

当初、東京五輪の直接的経済効果は5兆円前後と言われて来ました。

その後、政権に忖度するシンクタンクや御用学者が「レガシー効果」などという荒唐無稽の経済効果を口にして、実施後は累計で27兆円もの効果があるなどと言い出したのは流石に驚きました。

しかし、観客の参加人数を大幅制限もしくは無観客で実施して、開会・閉会のセレモニーもほとんど何もしないのでは、閉会後にレガシー効果などという胡散臭い効果が出るはずもありません。2024年にはすぐにパリの五輪がやってきますので、あっという間に忘れ去られるだけのことになりかねないでしょう。

直接的経済効果については、すでにインフラ整備などでその7割以上は投資が完了しており、あとは大会期間中の観客の来日によるインバウンド効果だけが残されている状況です。

前述のとおり、それも制限されるのであれば事実上、直接的経済効果の刈り取りは終了した状況で、ここからさらに余分なコストをかけて無理やり実施しても、回収不能に陥るのが関の山ということになります。

五輪開催の可否が不明でも湾岸のタワマン販売は絶好調

五輪が開催されないと大量に作られたタワマンの販売が不振に陥るなどというわけの判らない見通しも市場に出回りましたが、実際のところ、五輪開催の可否とは関係なく湾岸エリアのタワマンの販売は絶好調の様子。五輪などとは何の関係もないことが明確になっています。

また東京五輪が開催されないとテレビ局、新聞社といった広告関連の事業が軒並みネガティブな影響を受けることになるという見方も広がりました。それもすでに新型コロナの感染で広告出稿は激減。五輪など実施しようが中止しようが、このセクターの足元の状況はガタガタです。

今年、無理やり実施したとしても「焼石に水」の状態は改善できないことは誰が見てもわかることとなっています。

反対する長老相手に菅首相が口火を切れないだけの話

どうもこの五輪中止の話は、森喜朗氏や二階俊博氏といったおよそ老害以外のなにものでもない長老が猛烈に反対する中で、こうした長老の言いなりで政権をなんとか維持している菅首相は中止を言い出せないという、単純な構造がそこにあるように見えてなりません。

とりわけ森何某に関しては自らの政治家人生の集大成として五輪の実施にこぎつけたいという極めて個人的意欲が感じられ、自分のカネでやるならまだしも、国費をこうした形で使うのは本当にやめてほしいと願わざるを得ない状況です。

Next: 五輪中止と同時に菅政権も終わりか。判断は早い方がいい



中止も解散も、判断は早い方がいい

一度決めたら絶対に引かない菅首相も、東京五輪の強硬突破失敗は政治的な痛手は大きく、みずからの政治生命をこれで終焉させかねないところにあります。

足元のこの政治の歪んだ世界は呆れること至極ですが、一刻も早く中止して、浮いたコストで新型コロナの撲滅の対策に専念することこそが、この国の幸福を維持する最大の政策であることは間違いありません。

100年に一度の災禍というのに、こうした体たらくで判断力・政策実行力のない為政者が君臨しているというのは、それだけでも国民にすさまじい不幸がもたらされており絶望的な気分になるものがあります。

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今市的視点 IMAICHI POV』(2021年1月23日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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