子どもにおこづかいをあげるなら、「定額制」と「報酬制」のどちらがよいのでしょうか?お金の専門家でも、どっち派かは意見が分かれるところです。今回は、子どもに与える影響の違いについて考えます。(『億の近道』遠藤功二)
日本FP協会認定CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、MBA(経営学修士)。大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当したが、組織のしがらみで顧客中心のサービスが提供できず、雇われFPとして働くことに限界を感じる。しかし、収入が途絶えることの恐怖から簡単には、会社から踏み出すことができず、ストレスを貯める日々を送る。FP資格やMBAをとっても、会社にお金で縛られていたら何もできない。「お金のためだけに働くつまらない生き方を他の人たちにはさせたくない。」という志をもち、お金が原因で不幸になる人を少しでも減らすべく、教育特化のFPとして奔走中。
専門家でも意見が割れる「おこづかいのあげかた」2種
おこづいのあげかたには、「定額制」と「報酬制」があります。
定額制は、月に1,000円などと決めておこづかいをあげる方法です。報酬制は、家のお手伝いをした時に、内容に応じておこづかいをあげる方法です。
お金の専門家でも、どっち派かは意見が分かれます。
定額制の理論は、「家の仕事は家族でするものだから、お金は渡さない」というものです。
報酬制の方の理論は、「お金を稼ぐ大変さを知るべきだ。おこづかいが欲しいなら家の仕事を手伝いなさい」といった感じです。
これは、どちらが正しいというものではありません。伸ばせる力が違うし、お子様の現状によっても適切なルールは異なります。
伸ばせる力が違ってくる
例えば、定額制で「月1,000円」と決めたら、予算内で工夫する力が身につきます。
家の仕事は、最近は共働きでママ・パパ両方が忙しいわけですから、お金なんてもらわなくても手伝いなさいよ、と私も思います。
一方、「お金の大事さ」を教えるなら、報酬制の方が効果があるでしょう。
何しろ家の仕事をしなければ、無一文となってしまい、アイスも漫画も買えないので、人生つまらないわけです。「働かないと何も買えないんだ」ということを子どもながらに体験することができます。
親の期待通りにならないことも
ところが、なかなかうまくいかないこともあります。
定額制は、「家の仕事は家族みんなでやるもんだ」と親が思っていても、全然、期待に答えてくれないかもしれません。
報酬制でお金の大切さがわかるかと思いきや「がんばれば稼げるから、じゃんじゃん使っちゃおう」という、悪い意味で前向きになってしまう可能性もあります。
Next: 「報酬制」と「定額制」、どちらを選ぶべき?
子どもに「何を伝えたいか」で選ぶ
では、どうしたら良いのか。
それは親が何を子どもに伝えたいのか、何がその子には必要なのか、ということで変わってきます。
「助け合い」を教えたいなら、みんなでバーベキューでも行ってみんなで準備をして、みんなで片付けをしたら、チームワークや思いやりを学ぶでしょう。大掃除をみんなでするのも良いです。
「予算管理」を教えたいなら、例えば回転寿司に行った時に、「700円以内で収まるように自分でネタを選びなさい」というようなことをするだけでも、好き放題に注文するよりは勉強になるでしょう。もしかしたら550円でお腹いっぱいになって、回転寿司の営業努力に感動するかもしれません。お店に興味を持つのも、ひとつの社会勉強です。
ちなみに、我が家では「報酬制」にしています。私がお金の管理に非常に甘かった過去の教訓と、事業者としてお金の大切さを身にしみて理解した経験から、子どもにはお金の大切さをよく理解して欲しいと考えています。
そして、報酬が発生しない「助け合い」「チームワーク」の大切さは、お金と関係ない機会で伝えています。
言葉で伝えてすぐに理解してくれるほど、教育は楽ではありません。一進一退を繰り返していくしかありません
『億の近道』(2021年4月15日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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