「退職金を投資で増やし、住宅ローンを返済したい」との相談を受けました。これ、実は老後破産を招く発想です。また退職金を使って一気に住宅ローンを返済する人も多いですが、無計画に完済すると、あとで苦しむことになります。
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。
「退職金を投資で増やし、住宅ローンを返済してもいいですか?」
ファイナンシャル・プランナーとして働く私のもとに、こんな質問が届きました。
「退職金をいくらか投資にあてて、住宅ローンを返済できないかと考えています。ローン返済のための投資は、やめた方がよいのでしょうか?」
ご自身でもうすうす気が付いているようですが、それは「してはいけません」。
お金を増やすのは時間がかかる。今ある現金でローンを返済すべき
退職金を投資して住宅ローンの返済にあてるということですが、投資で確実にリターンを得るには、最低でも5年、長くて10年はかかります。
投資は魔法ではありません。今日投資をして、明日倍になるようなモノではありません。
私はいつも、投資は必ず増やせるモノを指す(増やせないなら投資ではない)と説明していますが、必ず増やすには、時間をかけることが必須になります。
10年かけて増やしてから、ローンの返済にあてるのはナンセンスです。
10年かけるのでしたら、今ある現金で住宅ローンを返済した方が、無駄な金利を支払わなくて済みます。
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老後破産まっしぐら。無理して住宅ローンを完済するのも危険
ただし、安易に退職金で住宅ローンを返済するのは、危険です。
まずは、年間の収支を付けてみてください。そして、年金の支給額を年金定期便で調べ、年間の支出が年金の範囲内になっているのかを調べてくださいね。
支出の方が多かったら、住宅ローンを完済するよりも、生活費のために残しておくと良いでしょう。
一部だけを繰り上げ返済して、毎月の返済額を少なくする程度にすべきです。
退職金で住宅ローンを完済しても、再雇用の収入では生活費が足りず、借金が膨らんでしまうケースもあります。
退職金で住宅ローンを完済したことで、老後破綻になってしまうパターンです。
家計管理は必須。定年後の収支バランスを考えてから退職金を使うべき
ご自身の家計のお金の流れを調べもせずに安易にローン返済してしまうのは、愚の骨頂です。
多少面倒でも、家計の収支を調べ、再雇用の収入でヤリクリできるのか調べてくださいね。
家計管理とか、ご自身のお給料や社会保険の仕組みなどを理解するのは、投資をするよりもずっと大切です。
なのに、何もしないで退職を迎えてしまったら、老後破産まっしぐらです。
『教育貧困にならないために』(2021年4月25日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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