新型コロナワクチンの開発を進めている塩野義製薬やアンジェスが、世界中で猛威を振るう変異型ウイルスに対応するワクチンの開発に乗り出していると相次いで公表した。
9日に横浜市で開かれた日本感染症学会学術講演会で明らかにしたもの。アンジェス創業者でワクチンを共同開発する大阪大学の森下竜一氏によると、同社では南アフリカ型・ブラジル型・英国型といった変異型に対応するワクチンの開発を4月に始めており、インド型への対応は検討中だという。
いっぽうで塩野義製薬も同日、変異型対応のワクチンの開発を検討していると明らかに。同社では組み換えタンパクワクチンを開発中で、どんな物質を投与すれば変異株への免疫がつくかを調べ始めたという。
「既存株もまだなのに…」向けられる冷たい視線
日本国内でも、高齢者へのワクチン接種がようやく始まったところだが、そのいっぽうで海外製ワクチンに対しての漠然とした不安も根強くあり、国産ワクチンの開発・完成が一部の層から大いに待望されている状況だ。
ただ、国内で開発に取り組んでいる塩野義製薬やアンジェスといった製薬会社の5社のうち、現在のところ4社が臨床試験中とのことだが、今年中に供給できる見通しが立っているところはゼロの状態である。
海外の製薬会社との間になぜここまで開発スピードに差がついているのかだが、コロナワクチン開発に関する製薬会社への国からの補助金が、米国と比べて数分の一しかないなど少ないといった事情、さらにここ近年は予防接種禍の集団訴訟で相次いで敗訴したことで、国がワクチン政策に及び腰の姿勢を取り続けたことも、ここに来て大きなアドバンテージとなったとも言われている。
そうこうしているうちに、既存株のワクチンに関しては海外メーカーがどんどんと開発と生産体制を整え、ひとまずはそれらで全世界に行き渡りそうな情勢に。日本の製薬会社としては、もはや国内の「国産品信奉者」ぐらいにしか需要がなさそうな既存ワクチンは置いとき、変異型対応のワクチンで巻き返しといきたいところだろうが、ネット上では「既存株のワクチンさえ開発できていないのに…」との声が多くあがるなど、両社の計画に対しての反応はいたって冷ややかだ。
アンジェスや塩野義、変異型ワクチン開発へ:日本経済新聞
補助金がどう入るのか、株価はどうなったのかなど、注視すると良いです。
いまだにワクチンを開発できていないこの2社が、変異型のワクチンだけ開発できる、ということはありません。 https://t.co/RJDwtRWZRl
— 久住英二(くすみえいじ) (@KusumiEiji) May 10, 2021
ファイザー・ビオンテック、モデルナがCOVID-19ワクチンを上市しさらに変異株ワクチン治験を進める中、何のノウハウもない企業が遅れて既存の変異株ワクチンを開発するのは時間とお金の無駄だと思う
「ワクチンの対象となる変異型は南アフリカ型とブラジル型、英国型の3種類」https://t.co/Oh14FalDJo— BiotechMania (@BiotechMania) May 9, 2021
補助金90億円、ネット上では「株券印刷業」との異名も
日本国内でコロナワクチン開発を行う5社のうち、もっとも開発が進んでいるのが、先にも出た森下竜一氏によって1999年に設立されたバイオベンチャーであるアンジェスで、2021年3月10日には他社に先んじて、第2/3相臨床試験のワクチン接種を完了したと発表している。ちなみにアンジェスには、コロナワクチン開発に関する国からの補助金が、これまで90億円強支払われているという。
ところがこのアンジェスだが、ネット上では「株券印刷業」との異名を持つなど、どうやら評判がよろしくない模様。要はこれまでこれといった実績がないのにも関わらず、今回のような好材料となるIRで株価を釣り上げては、MSワラントで増資というパターンで成長してきた、という見方だ。新薬開発には費用もさることながら時間もかなりかかるだけに、そういったスタイルも致し方ない面もあるかもしれないが、殊に投資家サイドからは要注意といったイメージを持たれているのは、揺るがぬ事実のようである。
さらに創業者の森下氏だが、こちらにはなんと「安倍トモ」疑惑が噂されているという。というのも、いわゆる加計学園問題を巡っては、安倍元首相と加計孝太郎理事長が山奥の別荘で仲良くビールを飲んでいた写真が話題となったが、それが撮影された翌日に行われた安倍元首相主催のゴルフコンペのメンバーに、どうやら森下氏が名を連ねていたというのだ。
こうしてみると、今だ既存株のワクチンの開発にも成功していないベンチャーに、90億円強もの補助金が出ているという事実が、なんとも訝しく感じてしまうところ。ただ、そんな誹(そし)りも今回発表した変異型ウイルスに対応するワクチンの開発が早々に成功すれば、一発で払拭できる可能性も大アリということで、ここは前評判を覆す成果を超期待、といったところだろうか。
Next: 「アンジェスを上場会社として存続させていいのか?」
ツイッターの反応
変異前の株に対するワクチンすら作れてない詐欺ベンチャー企業に変異株なんか作れるわけ無いやん。実際はまた開発してるフリだけするんだろうけど。
国内も変異株ワクチン開発に着手 アンジェス、塩野義製薬(共同通信)#Yahooニュースhttps://t.co/jgH5jCm4Ij
— ちんにい (@chinniisan) May 9, 2021
もう1年近く経つのに通常の新型コロナウイルスに対する DNA ワクチン製造ですら中和抗体かも分からない抗体が産生されるところまでしか確認できてないアンジェスが、2-3週間あれば変異に対応できる mRNA ワクチンを持つ Pfizer や Moderna に勝てるわけがないでしょう。 https://t.co/JLLlKKsy74
— sekkai (@sekkai) May 9, 2021
実績も能力もない会社が、このうえまだ補助金狙いか → 変異型ワクチン開発へ アンジェスや塩野義: 日本経済新聞 https://t.co/Jy0t3OGdgr
— Nobuyo Yagi 八木啓代 (@nobuyoyagi) May 9, 2021
これからの新型コロナウイルス対策は変異株に対しての対策に切り替えていくべき。
変異株ワクチン 国内で開発着手 2021年5月9日 https://t.co/8EDhW2ks07
— 佐藤光紀(奈良県議会議員) (@mitsunori_sato) May 9, 2021
アンジェス、MSワラントの大量行使、本日1株895円で155万株
— ありゃりゃ (@aryarya) May 10, 2021
アンジェスを上場会社として存続させていいのか?
昨日変異株へのワクチン開発をリリースしてYahooニュースになって、今日増資って(笑)分かり易すぎるんだけど
Yahooニュースのコメント見たら、政府もこういう会社を支援すべきだみたいなのが堂々とトップに掲載されてるし— ふなさん (@fun00555129) May 10, 2021
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