老後資金2,000万円問題が注目を集めましたが、本当のところ、必要な資金はいくらなのでしょうか?年金受給額と「ゆとりある」老後に必要な生活費の差を計算すると、4,000万円でも足りないことがわかります。(『教育貧困にならないために』川畑明美)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。
ゆとりある老後生活を送るなら、夫婦で「月額36.1万円」必要
記憶に新しい老後2,000万円問題ですが、本当のところ、必要な老後の貯蓄はいくらなのでしょうか?
まず、老後の生活費を調べてみましょう。
生命保険文化センターが行った意識調査によると、夫婦ふたりで老後生活を送るうえで必要だと考えられる最低日常生活費は、平均で「月額22.1万円」となっています。
また、“ゆとりある”老後生活を送るための費用として、最低日常生活費以外に必要と考えられる金額は、平均で「月額14万円」となっています。
これを必要な生活費と、合算すると「月額36.1万円」になります。
※参考:老後の生活費はいくらくらい必要と考える? – 公益財団法人 生命保険文化センター
最低日常生活費「以外」に何をお金を使っている?
では、老後のゆとりのために上乗せされた金額(平均14万円)は、何に使われているのでしょうか?前述の生命保険文化センターの調査によると、以下の通りとなっています。
・旅行やレジャー:60.7%
・趣味や教養:51.1%
・日常生活費の充実:49.6%
・身内とのつきあい:48.8%
・耐久消費財の買い替え:30%
・子どもや孫への資金援助:22.4%
・隣人や友人とのつきあい:15.5%
・とりあえず貯金:3.7%
調査では「ゆとり」の分とされていますが、どれも必要と感じられる費用です。
ですので、必要な老後資金を計算する時は、「ゆとりのある老後生活費」のほうの“「月額36.1万円」で考えましょう。
Next: 生活費だけでも4,000万円の不足?老後に突入してからでは遅い
生活費の不足だけでも4,000万円?
では、年金はいくら支給されるのでしょうか? 厚生労働省が発表した令和3年の金額は、標準的なモデル世帯の年金受給額で、夫婦で22万496円です。
単純に生活費の不足を計算してみましょう。
厚生労働省のまとめによると、日本人の平均寿命は女性87.45歳、男性81.41歳ですが、平均寿命ではなく平均余命で考えることを私はおススメしています。
女性の方が長生きですから65歳女性の平均余命は、24.63年です。小数点以下を繰り上げて65歳に足すと90歳ですね。なので、「平均的な老後期間は25年」となります。
ゆとりのある老後生活費の36.1万円から年金受給額を22万496円を引くと、14万504円です。これに老後期間の25年で計算すると、14万504円 × 12ヶ月 × 25年 = 4,215万円 になります。
つまり、生活費だけで約4,000万円は不足すると考えられるのです。
早くから老後資金をコツコツと貯めたいですね。
『教育貧困にならないために』(2021年5月26日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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