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起業家が億万長者になるまでの期間が劇的短縮。投資家が急成長企業を見抜く方法は?=山田健彦

今やビジネスを立ち上げるために必要なものはアイデアだけという時代に移行しつつあり、起業家はわずかな期間で成功して億万長者になっています。私たち投資家はそのアイデアをどう評価し、実現可能性と収益性はあるのかを見定めることが重要になってきます。(『資産1億円への道』山田健彦)

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お金持ちになるスピードが劇的に短縮された

今の世の中は、何でも「より早く」が求められています。人の歩く速さも例外ではありません。「そうか~?」 と思う人は、時代劇に出てくる江戸時代の参勤交代の行列のスピードと、現代人の歩く速さの違いを思い浮かべてください。

出世のスピードも同じです。スピードが早いと言われるアメリカでも、ケネディが大統領になったのは曽祖父がアメリカに移住した1849年から111年、代にして4代かかっていますが、オバマになると実質的に2代目です。

お金持ちになるスピードも今は昔より遥かに短くなりました。農業が経済の主体の頃は、刈り取って最終的にお金を得るまでに1年くらいかかるのが普通でした。

職業はほとんどの場合、世襲制で農家の子は農家に、パン屋の子はパン屋になり、それぞれの職業で経済的に余裕を持てるまでには少なくとも3世代の月日が必要でした。

工業化の時代になると経済的に豊かになるのに要する時間はかなり短くなり、無一文から始めて1世代でお金持ちになることも可能になりました。

伝説的な人物として鉄鋼王のカーネギー、鉄道王のスタンフォード、石油王のロックフェラー、自動車王のフォード等が挙げられます。彼らは巨万の富を1代で築き上げました。

しかし現代では、これら伝説的な成功者が経済的に豊かになるのに要した時間よりも、遥かに短い時間で経済的成功を達成した実例も出てきました。

マイクロソフトのビル・ゲイツ、アマゾンのジェフ・ベゾス、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ、グーグルのラリー・ペイジに代表される現代版成功者です。

経済活動の主体が農業から工業へ。そしてゲイツに代表される知識・情報が主体となり、成功に要する時間が短くなった要因は何でしょうか?

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なぜ成功までの時間が短くなった?

いろいろとあるとは思いますが筆者が見るに、農業主体経済の時期は自分の労働時間の長短が経済的豊かさと直結していたのに対し、工業主体時代になると多数の人々が知恵を出し合うことと協力し合うことで1+1が5にも10にもなったことです。この頃になると、労働時間の長短と経済的豊かさの関係は少し緩くなりました。

マイクロソフトに代表される知識・情報産業が経済の主体になると、大規模な工場、巨大な機械設備、多数の工場労働者は必要なくなり、経済的な豊かさを共有する範囲の人々が劇的に減りました。また、労働時間の長短と経済的豊かさは関係なくなりました。脱工業化社会とはこういうことです。

知識・情報産業が経済の主体となる時代は、貯蓄ゼロで社会人経験もない大学生がアイデアひとつで数年で億単位のお金を稼いだりすることが可能になってきました。

今や、ビジネスを立ち上げるために必要なものはアイデアだけ、という時代に移行しつつあり、私たち投資家はそのアイデアをどう評価し、実現可能性と収益性はあるのかを見定めることが重要になってきます。

高利益企業は知識・情報産業がメイン

ところで企業の収益性を測るのは、利益率やROE等の指標以外にも、従業員に高給で報いているかという観点からの判断もあります。つまり、それだけの高給を支払えるのなら、さぞかし会社は経済的に潤っているのではないか?という推測です。

東洋経済に「生涯給料全国トップ500社ランキング」という記事があり、そこのトップ50社を見てください。
※参考::生涯給料「全国トップ500社」ランキング最新版 | 賃金・生涯給料ランキング – 東洋経済オンライン(2020年11月21日配信)

ここで何に気づきますか? 筆者が気づいたのは、以下の点です。

・製造業の会社が極端に少ない。
・M&Aキャピタルパートナーズ、日本M&Aセンター、ストライク等の事業承継、企業買収を仲介する法律、会計、税務の深い知識を要求される専門家集団の会社が高給を支払っている。
・日本商業開発、ヒューリック、フロンティア・マネジメント、三井不動産、三菱地所のような不動産会社が多い。
・野村総研、ベイカレント・コンサルティング、ドリームインキュベータ等のコンサルティング系も高給を支払っている。
・三菱商事、伊藤忠商事、丸紅、住友商事、三井物産、双日、豊田通商など一般的に高給取りと思われている総合商社も予想通り入っている。

総じて工業化社会の時と異なり、大規模な設備や工場を必要としない知識・情報産業がメインということです。これらの企業の成長性、収益性を財務諸表に基づき分析し、グローバルな競合他社と比較して投資していけば、長期的にはそれなりのリターンが見込めるはずです。

もちろん、短期的には様々な要因で株価は上下しますので、長期的目線での話となります。

注意点として、非製造業の方が良くて製造業はダメだ、ということではありません。製造業は工場建設や設備導入など巨大な資本が必要で、誰でも明日から参入できるビジネスではありません。つまり、参入障壁が高いビジネスです。そういう企業は劇的な成長、劇的な株価の上昇は期待薄となることが多いのですが、安定した配当は期待できます。

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image by:Josep Suria / Shutterstock.com

資産1億円への道』(2021年6月8日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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