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米国株インデックス投資“万能論”は危険?「誰でも稼げる」に潜む罠=栫井駿介

今、資産運用では米国株のインデックス投資だけを買っていればいいんだ、それを積み立て投資していればいいんだという風潮がよく見られます。言っていることが必ずしも大きく間違っているとは思いませんが、そればかりを盲目的に信じてしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性があります。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

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プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

「米国株インデックス投資だけしてればいい」に警鐘

今、資産運用では米国株のインデックス投資だけを買っていればいいんだ、それを積み立て投資していればいいんだという風潮がよく見られます。

YouTuberなどを見てもオリエンタルラジオの中田さん、あるいは厚切りジェイソンさんなんかも、YouTubeでこのような内容を発信していたりします。

言っていることが必ずしも大きく間違っているとは思いませんが、そればかりを盲目的に信じてしまうと思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性があります。

ここでは米国株インデックス投資に潜む現実というものを解説したいと思います。

またそれだけの一辺倒の投資になってしまわないように、私たちはどうしたらいいのかということについても具体的な処方箋を示していきたいと思います。

米国株が好調な「3つの理由」

アメリカ株S&P500の株価推移です。

S&P500指数 月足(SBI証券提供)

S&P500指数 月足(SBI証券提供)

見ると分かるように、見ことに右肩上がりを描いています。30年間の年率のリターンとしては11.8%ということになります。

確かにこのグラフの中で積立投資だったり、米国株に投資していれば、ほぼ多くの人が報われていたということになります。

2020年12月9日時点ですが、S&P500過去最高値を更新しているところです。

では、なぜこんなに米国株が調子よく上がっているのかということについて、分解して話してみたいと思います。

その要因として、以下の3つをあげることができます。

1)経済、特にハイテクに関して強い
2)年金制度改革が30年近く前に行われた
3)政策金利がこの十数年、非常に低下している

米株好調の理由その1:経済、特にハイテクに関して強い

まず1つ目、米国の経済が強いというのは、具体的には「GAFAM」と言われるグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、そしてマイクロソフトというこの5社が非常に強いということがあります。

ナスダック総合指数というものがありまして、これはハイテク株を中心に売買される市場を表す数値ですが、先程S&P500の上昇率が年率換算11%という話をしましたけれども、ナスダック総合指数はなんと15%上昇しています。

NASDAQ 月足(SBI証券提供)

NASDAQ 月足(SBI証券提供)

年率で15%ですからこれが1年2年10年20年と積み重なっていくと、それは非常に大きな差となって現れます。

米国の経済が強いというのは一番大きいのはやはりシリコンバレーという効果だと思います。

シリコンバレーにアップルとかアマゾンとか、そういったハイテク企業がどんどん集まってきて、世界中の頭脳がここを求めてやってくる訳です。

アメリカ人だけじゃなくて、インド人、中国人など、飛び抜けて優秀な人達がこれらの企業を目指してやってきて、そしてどんどん大きくなっています。

インターネットの発達によってこれらの企業が世界展開をして、どんどん大きくなる素地というものがありましたから、これらが利益を稼いですごく成長してきたということが、アメリカ株をけん引してきた訳です。

Next: 上がる理由があれば、下がる理由もある

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