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米国株インデックス投資“万能論”は危険?「誰でも稼げる」に潜む罠=栫井駿介

上がった株価はいずれ下がる

具体的に過去の例を用いて説明しますと、以下は過去90年間のS&P500の推移なんですが、対数グラフと呼ばれるもので倍率に応じてこの軸を調整しているのですが、1929年から40年代に関しては「世界恐慌」とその後の低迷期ということで、株価が上がらない状態が続きました。

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また「株式の死」、1970年代から80年代にオイル・ショックを機に始まったものですが、この間アメリカ株というのはほぼ上がらなくて、実はアメリカでも株式投資なんかやっているのは馬鹿らしいと言ってる時代がありました。

結局、このようなことがまた起こらないとも限りませんし、過去のチャートを見ますと世界恐慌の前は実はとんでもない株式ブームが起きて、株価が上昇していたということもあります。

またこの1950年代60年代の株価上昇というのも、第二次世界対戦が終わった後の高度成に支えられて上昇してきたという部分があります。

したがって大きく上昇した反対には必ず停滞、あるいは下落というものがあるという風に見てください。

そう考えるとリーマン・ショックから大きく上がって、コロナで一瞬下がったかと思いましたが、また更に上昇を続けています。

ここから過去の例にあったような大きな低迷が起きないとも限りません。

そんな中で今この上昇している高いところで株をたくさん買ってしまったとしたら、そこで買った株は長い時間に渡って含み損となってしまう可能性があります。

機械的ではダメ!頭を使うことが大切

では、そのような状況に対して私たちはどうしたらいいのか。いま正直私は感覚として、米国株高いのではないかという風に思っています。

もっとも金融緩和の影響によってどこまで上がるかというのは想像もできないのですが、経済というのはそんなに爆発的に上がるものではありませんから、どこかで停滞とか反転反落を経なければならないという風に思っています。

それに備えてどうしたらいいのかというと、まずは分散投資ではないかと思います。

米国株自体も確かに米国のあらゆる企業に分散しているのですが、やはり米国という国の特性が反映されるものです。

米国だけではなくて例えば全世界をカバーしたような、世界株式インデックスのようなものに投資するというのは、米国株だけよりもまだ安定性が高いのではないかと思われます。

また株式と一般的には債券なんですが、今債券を買ったところでほぼゼロ金利ですから、そうではなくて現金で持っていくというのは一つの手ではないかと思います。

もちろん金とか不動産とかそういったものにも分散することで、この大きな波を避けるということは可能性として考えられると思います。

またタイミングを考えるということもあります。

先程チャートでを示しました通り、上がっている時に買うというのは、高値づかみをしてしまう危険性があります。逆に言えば、低迷期とか株価が下がっている時に株買うことによって、その後の大きな上昇を得ることができると言えるわけです。

実際に近年大きく株式で儲けて億万長者となったような人達も、リーマン・ショック後の低迷期に買い込んだことによって、今そのような億万長者になっている訳です。

したがって、買うタイミングというのはやはり考えなければいけなくて、いま米国株にたくさん投資するというのは、必ずしも理にかなった戦略ではないという風に私は考えています。

Next: 投資家は市場の「歪み」を見つけるべき。思い込みでの投資は危険

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