マネーボイス メニュー

ドケチな青春、惨めな老後?「働きたくない」FIRE志望20~30代が早期リタイアで失う幸せの種とは=午堂登紀雄

若者を中心に「FIRE(経済的独立と早期退職)」を目指す人が増えていますが、ケチケチ生活を続けて投資資金を貯め、最低限度のお金で働かずに生きるのは楽しい人生と言えるのでしょうか?(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)

【関連】誕生・出産を全否定する“反出生主義”が間違っている7つの理由。「なぜ貧乏なのに僕を産んだの?」にどう答えるか=午堂登紀雄

※有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』2021年10月4日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。

ケチケチ生活で「FIRE」を実現するのは楽しいのか?

昨年あたりから「FIRE(フィナンシャル・インディペンデンス・リタイア・アーリー)」に関する話題が増えています。

しかし、そのほとんどは、例えば「1億円を貯めて会社を辞める」とか、「高配当株に投資してその配当で暮らす」みたいな方法です。

年利4%の配当でも、1億円を投資すれば年間400万円の収入になる(実際には20%が課税され、手取りは320万円)、月25万円あれば、まあまあ暮らせるよねと。

そして、実践者はほぼ「20代から節約貯金」の人生を送り、リタイアしたあとも同じような生活を送っているようです。

でも、そもそも1億円も貯めるというのがしんどい。相当なケチケチ生活をしないと、貯められないでしょう。

それに、貯蓄を取り崩すだけの生活は不安との戦いで、1億円あっても残高が減る一方なのは、恐怖でお金を使えないと思います。

さらに月25万円程度の収入では、やはりケチケチ生活を送らざるをえず、やれることにも限界があるでしょう。

すると、楽しいことをほぼ経験することなく、ただリタイアするためだけに、最低限の収入で生活するために、生涯をケチケチ生活で終えるということになりかねません。

確かにお金がなくても楽しく生活できる方法はあるとはいえ、そういうこじんまりとした人生がいいのかな、と私は傍観しています。

もちろん、それで満足している人もいるでしょうから否定はしませんが、あまり、というよりまったく、うらやましいとは思えない。

だから、そういう人たちのFIRE論に耳を傾ける気にもならない。

どういう銘柄に投資しているのかなとか、自分が知らないコスト削減の方法があるかなと思って、そういうネットの記事にも目を通してみるのですが、ほとんどは実践済みの方法とか、あまり魅力のない銘柄だったりします。

で、FIREに憧れているのは20代や30代前半といった若い人に多く、そうまでして仕事がイヤで、会社を辞めたいんだろうなあと、ちょっと同情もします。まあ、余計なお世話なんでしょうけど。

Next: 若いうちからリタイアを目指すとどんな人生になる?



若いうちは限界を突破する力をつけたほうがいい

私自身は、特に20代のうちは、アーリーリタイアなんてことを考えず、「がむしゃらに仕事に没頭し、実力を高めた方がいい」と思っています。

私も20〜30代の頃は死ぬほど仕事をして自分に自信がついたし、それでよかったと思っています。

たくさんのプロジェクトに参加し、いろんな人と会い、あちこち旅行し、挫折や逆境、修羅場を経験し、叱られ怒られ、周囲に迷惑をかけ、乗り越えてきました。限界を突破する経験は、選り好みしていてはもたらされません。

FIREしたいと考える人は、壁や苦痛や逆境や修羅場を回避することを希望しているのだと思います。自分の限界を突破するには、「苦しい」「しんどい」という苦痛を伴うことも少なくないからです。

そもそも、努力の経験がなければ、努力する方法がわかりません。そして、努力して克服した経験がなければ、本質的な自信を持つこともできません。

自分の底力はどの程度なのか、どうすれば底力を発揮できるのか。それを知るには、限界を超える必要があります。限界を超えるには、「もう限界だ」という状態に耐え、それを普通にしていくことです。

すると、これまでの限界を突破し、さらに上の限界を目指すことができます。

それが「やればできる」という実感になります。そういう経験を経ることで、本質的な自信につながり、逆境にも動じない強いメンタルを獲得します。

まあ、「別に限界なんて突破しなくていいよ」という人はそれでいいのですが。

私も確かにあの頃に戻りたいとはまったく思えないほどしんどいことも多かったのですが、そのおかげで今の自分があるという確信があります。それが資本的蓄積となり、40代以降の自由(経済的自由、精神的自由)の根拠になっていると考えています。

例えば、書籍の執筆という仕事は誰にもできないことかもしれませんが、死に物狂いで働いてきたから、そのときに得たいろんな習慣の積み重ねがあるから、こうして何十冊も書けるネタがひねり出せるのです。

でなければ、早々にネタ切れして作家生命は短命に終わっていたと思います。

2,000万円から「FIRE」は可能?

では、FIREは無意味と考えているのかというとそうではなく、私は違う解釈をしています。それは、「好きなことを仕事にするために会社員という枠組みから脱出する」ことが目的だと考えています。

雇われるのではなく、自ら事業を興し、自ら仕掛ける。そしてそれにはカリカリの節約生活では充足感がない。だから私は太陽光発電投資や不動産投資を推奨していますし、自分でも実践しています。そんなにお金を貯めなくても、不労所得を得る道筋を作れるからです。

例えば、私はある発電所を自己資金ゼロのフルローンで買ったのですが、もたらされるキャッシュフロー(収入から管理コスト・税金・ローン返済額などを引いた純手取り)は、年間約35万円です。自己資金150万円で買った発電所は、年間約90万円のキャッシュフローです。自己資金350万円で買った区分マンションは、年間約70万円のキャッシュフロー。

この3件の総額500万円の出費でもたらされる収入は、年間195万円。同じ条件で仮定すれば、1,000万円の出費で年間390万円、2,000万円で780万円の手取りになる。

投資対象を金融商品ではなく、ローンを組んでの現物商品にすれば、1億円を貯めなくても「FIRE」は可能なのです(むろん物件の吟味は必要ですが)。

1億円を貯めるのは難しいですが、2,000万円を貯めるのならまだ現実的ではないでしょうか。

そして年収780万円(ひとまず所得税や住民税、年金や健康保険料は除外して)あれば、年利4%程度の金融商品からの配当よりも、よほど人生を楽しめるに足る原資となる。

むろん、家賃は経年とともに減る、修繕費もかかる、太陽光発電も劣化で発電量は減るし、固定価格は20年間でその後は大きく下がりますが、それまでに「好きなことでビジネスをして基盤を作っておく」ことで、盤石になると思います。

Next: 動機が「働きたくない」であれば失敗する可能性が高い



動機が「働きたくない」であれば失敗する可能性が高い

私も起業家・作家・講演家としての仕事をしつつ、その収入を資産増加に活用してきました。

作家や講演家としての仕事はおそらく私が年齢を重ねるたびに減っていくことが予想されますが、老後はそれまでに築いた資産が私に収入をもたらしてくれます。

同時に、いま50歳になった私は、将来60代〜70代になっても稼げるビジネスモデルの探索をしています。

という感じで、FIREの目的を「リタイア」ではなく、「好きなことを仕事にするための土台作り」と考えれば、未来はもっと楽しくなるのではないかと思います。

金融商品で1億円を持っていても、暴落が起こって配当が減る可能性があります。それで生活に困っても、労働市場に戻るだけの仕事の実力がなければ、バイトをするしかない。それは脆弱です。

まあ、「働きたくない」という層が一定数いるのは事実でしょうけれど。

有料メルマガ好評配信中!初月無料です

【関連】誕生・出産を全否定する“反出生主義”が間違っている7つの理由。「なぜ貧乏なのに僕を産んだの?」にどう答えるか=午堂登紀雄

【関連】貧乏な家の子どもがお金持ちになれない本当の理由と「思考格差」の正体=午堂登紀雄

<初月無料購読ですぐ読める! 10月配信済みバックナンバー>

※2021年10月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。

2021年10月配信分
  • FIREと仕事と自由とお金(10/4)

いますぐ初月無料購読!


※有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』2021年10月4日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込1,012円)。

2021年9月配信分
  • 成長を続けなければならないのか?(9/27)
  • 家事育児は一生懸命やってはいけない(9/20)
  • ライトノベル作家を目指す?(9/13)
  • 手抜きは本質である(9/6)

2021年9月のバックナンバーを購入する

2021年8月配信分
  • 毎月分配型投信に再挑戦(8/23)
  • 積立投資を増やしています(8/16)
  • やりがいはどこから来るのか?(8/9)
  • やりたいことは探しても見つからない(8/2)

2021年8月のバックナンバーを購入する

2021年7月配信分
  • やりたい職業の見つけ方(7/26)
  • 知的に打たれ強い人とは?(7/19)
  • 自分は生まれてこなかった方がいい?(7/12)
  • 3日坊主で行こう!(7/5)

2021年7月のバックナンバーを購入する

2021年6月配信分
  • 流れに身を任せて生きる(6/28)
  • 「やりたいことがわからない」のは悪いことではない(6/21)
  • 自分に必要なテキストは自分で作る(6/14)

2021年6月のバックナンバーを購入する

2021年5月配信分
  • 「やりたいことをやれ」は本当なのか?(5/24)
  • 自分なりの合理的判断基準を持つ(5/17)
  • 瀕死の志摩スペイン村をいかに再生させるか?(5/10)
  • 自分のバイアスを理解する(5/3)

2021年5月のバックナンバーを購入する

2021年4月配信分
  • 緊急事態宣言なんて関係ねえPart2(4/26)
  • 裸の王様で何が悪い?(4/19)
  • 人生は二段構えで(4/12)
  • 考えるために、考えなくていいことを増やす(4/5)

2021年4月のバックナンバーを購入する

2021年3月配信分
  • なぜ貧困層ほどブラック企業を選んでしまうのか?(3/22)
  • みんなの言うことは正しくない(3/15)
  • ポンコツな自分に気がつけるか?(3/8)
  • 事業からの撤退を考える(3/1)

2021年3月のバックナンバーを購入する

2021年2月配信分
  • ブルーベリー事業始めます(2/22)
  • 私が情報発信する理由(2/15)
  • 投資詐欺に騙されないために(2/8)
  • コロナで思考停止する日本人(2/1)

2021年2月のバックナンバーを購入する

2021年1月配信分
  • 2021年は格差の年になる?(1/25)
  • 保険は入るべし!(1/18)
  • 緊急事態宣言?そんなの関係ねえ(笑)(1/11)
  • 2021年の私の計画(1/4)
  • 【新年特別号】2021年にお金が増えるのはどんな人?コロナに打ち勝つ6つの資産防衛(1/1)

2021年1月のバックナンバーを購入する

2020年12月配信分
  • 自分なりの成功を定義する(12/28)
  • 独断力の時代(12/21)
  • 成功をあきらめる?(12/14)
  • 自由を得るには自己責任意識が不可欠(12/7)

2020年12月のバックナンバーを購入する

2020年11月配信分
  • できないことよりできることに全集中(11/23)
  • 夢をあきらめるということ(11/16)
  • あきらめ上手は生き方上手?(11/9)
  • 2020年の計画を振り返る(11/2)

2020年11月のバックナンバーを購入する

2020年10月配信分
  • 新刊プレゼントキャンペーン(10月28日まで)のお知らせ(10/26)
  • 持ち家にはメリットがたくさん(10/19)
  • 「言葉にできる」はお金になる(10/12)
  • 古民家再生ビジネスは不動産投資ではない(10/5)

2020年10月のバックナンバーを購入する

2020年9月配信分
  • 思考停止していく世界に備える(9/28)
  • 健康は財産である!(9/21)
  • 貧困のバーゲンセールが始まる?(9/7)

2020年9月のバックナンバーを購入する

2020年8月配信分
  • ツイッターには稼ぐヒントがある?(8/24)
  • 最初の1歩は情報発信から(8/17)
  • コロナ時代のビジネスモデル(8/10)
  • 富裕層とは何か?(8/3)

2020年7月のバックナンバーを購入する

2020年7月配信分
  • 抽象化思考の重要性(7/27)
  • 宗教法人の買収を考えてみる(7/20)
  • あきらめることは意味がある(7/13)
  • 資本金は1円でいい理由(7/6)

2020年7月のバックナンバーを購入する

2020年6月配信分
  • 草刈りはやはりやっかいでした(6/22)
  • 香港動乱で考える(6/15)
  • コロナで変わるキャリア戦略(6/8)
  • 自分の仕事を仮想空間に持ち込めるか?(6/1)

2020年6月のバックナンバーを購入する

2020年5月配信分
  • コロナでもほったらかしで稼ぐ方法とは?(5/25)
  • 教育格差を乗り切るために(5/18)
  • 起業塾なんて不要?(5/11)
  • ピークエンドの法則で今を焦らない(5/4)

2020年5月のバックナンバーを購入する

2020年4月配信分
  • アフターコロナ時代を見据えて人生戦略を見直す(4/27)
  • マンガ始めました(4/20)
  • 個人はコンテンツで勝負する(4/13)
  • コロナで売上半減です(4/6)

2020年4月のバックナンバーを購入する

2020年3月配信分
  • やはり投信積立は信頼できないが、今なら?(3/23)
  • ついに強制ロスカットに遭いました!(3/16)
  • 暴落相場は今か?待つべきか?(3/9)
  • 意思を持てば世界の見え方は変わる(3/9)
  • コロナで大暴落相場にチャンス?(3/3)
  • イライラしない人になる!(3/2)

2020年3月のバックナンバーを購入する

2020年2月配信分
  • イライラは人生の無駄遣い!(2/24)
  • 家族や親戚に反対されたら・・・?(2/17)
  • あきらめてもいいんじゃないか?(2/10)
  • インフルエンザで倒れました。。(2/3)

2020年2月のバックナンバーを購入する

2020年1月配信分
  • 読者のみなさまへ、バックナンバーのご案内(1/28)
  • 「これだけは避けたい」という軸を持つ(1/27)
  • 「場」を作れば何かが起こる(1/20)
  • 誰でもお金になるネタを持っている(1/13)
  • 2020年の計画(1/6)
  • 【新年特別号】「汗水たらして働くほど貧乏になる」2020年代にお金を増やす5つの技術(1/1)

2020年1月のバックナンバーを購入する

【関連】世の女性たちが知らない、男から見た「将来億を稼ぐ男性」の条件=午堂登紀雄

【関連】100歳まで病気でも貧困でも「生かされる」地獄、生活保護の半数以上が高齢者=鈴木傾城

【関連】なぜ「格差婚」は幸せになれないのか? 夫婦の亀裂につながる4つの格差=午堂登紀雄

【関連】なぜ日本のシングルマザーは地獄なのか?約123万2,000世帯の半数が貧困=鈴木傾城

【関連】日本で急増する「住所を喪失」した人たち〜車上生活、漂流女子、8050問題が行き着く地獄=鈴木傾城

image by:megaflopp / Shutterstock.com

午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』(2021年10月4日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門

[月額1,012円(税込) 毎月第1月曜日・第2月曜日・第3月曜日・第4月曜日]
フリー・キャピタリストとは、時代を洞察し、自分の労働力や居住地に依存しないマルチな収入源を作り、国家や企業のリスクからフリーとなった人です。どんな状況でも自分と家族を守れる、頭の使い方・考え方・具体的方法論を紹介。金融・経済情勢の読み方、恐慌・財政破綻からの回避方法。マネタイズ手段としての資産運用、パソコン1台で稼げるネットビジネス、コンテンツを生み出し稼ぐ方法。将来需要が高まるビジネススキルとその高め方。思考回路を変えるのに役立つ書籍や海外情勢など、激動の時代に必要な情報をお届けします。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。