中国の暗号資産全面取引禁止が発表されたことで仮想通貨相場は一時急落したが、すぐに発表前の水準を回復。ビットコインの大口投資家はまったく気にかけておらず、「ビットコインを殺すのは難しい」など強気な発言が相次いでいる。(『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』高島康司)
※本記事は『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2021年10月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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中国による暗号資産「全面禁止」後の状況
9月24日に突然と発表された中国による暗号通貨の全面的な取引禁止は、ビットコインを中心とする主要なコインの相場にはさほど大きな影響を与えなかった。
市場はこの禁止をすでに織り込み済みであったことが、基本的な原因だろうと思われる。
いまビットコインは530万円台で推移しており、全面禁止発表直前の水準に戻った格好だ。
チャマス・パリハピティヤによる楽観的な見通し
そのようななか、今後のビットコインの相場展開について、代表的な大口投資家から楽観的な見通しの発表が相次いでいる。
そのひとりはインドを代表するビットコインの大口投資家、チャマス・パリハピティヤだ。パリハピティヤは宇宙旅行会社、「Virgin Galactic」の会長であり、NBAのチーム、「Golden State Warriors」のオーナーでもある。
パリハピティヤは、このほど開催された「Delivering Alpha」というカンファレンスにおいて、CNBCのレポーター、スコット・ワプナーに次のように述べた。
「ここに座っている私が価格予測をするのは非常に難しいが、自信を持って言えるのは、ビットコインは事実上、金に取って代わったということだ。ビットコインは今後もそうなり続けるでしょう。そして、その時価総額は拡大していくでしょう」。
また、各国の金融当局によるビットコイン規制の強化によってビットコインは消滅させられるのではないかという懸念に対して、次のように述べた。
「私は、ビットコインを殺すのはとても難しいと思います。技術的には非常に難しいと思います。ビットコインのアーキテクチャは、これまで見てきたインターネットの中で最も深遠なものです」。
パリハピティヤは、中期的なインフレを非常に懸念していて、年率50%以上の成長を遂げている企業などのハイパーグロース資産、鉱山株などのキャッシュジェネレーション資産、そして暗号資産の3つを保有したいと主張した。
そして後者のカテゴリーには、ビットコイン、ソラナ、デソ(分散型ソーシャルメディア)があり、多くの「DeFi」のプロジェクトも、これらすべてのものに対する素晴らしい直観的なヘッジになるとした。そして、これらの暗号通貨が今後も上昇することを強く示唆した。
Next: 電力問題も解決間近?大口投資家たちは強気継続
億万長者のオーランド・ブラボーの見通し
パリハピティヤと同じような見通しをしているのが、オーランド・ブラボーだ。
ブラボーは大手プライベート・エクイティ会社、「Thoma Bravo」の共同設立者だ。ブラボーはビットコインに対して非常に強気であり、暗号通貨全般が 「大幅に値上がりする 」と予想している。
彼は、「暗号通貨はまさに素晴らしいシステムです。摩擦がありません。分散化されています。そして、若い人たちは自分たちの金融システムを求めている。だから、ここに留まるのだ」と述べ、強気の観測を披露した。
ちなみにブラボーの純資産だが、9月29日の時点で63億ドルだ。彼はプエルトリコ生まれの初の億万長者と言われている。
そしてブラボーは次のようにも言う。
「私にとってこの予想は、とてもシンプルなことです。将来的には、今よりも多くの人が(暗号通貨)を使うようになり、より定着していくでしょう。機関投資家はまだそこに行き始めたばかりで、それが実現すれば、何年か後には大幅に増加すると思います。私はとても強気です」。
非常に楽観的な見通しだ。
電力問題も解決間近?火山マイニングとソーラーマイニング
ところで、ビットコインの先行きに弱気な予測の根拠のひとつになっているのが、マイニングが消費する膨大な電力だ。
現在、多くの国々では火力発電やガス発電がメインなので、これが放出する地球温暖化ガスが温暖化の進展を助長させる要因にもなっている。そうした懸念から、ビットコインのマイニングが嫌煙され、一部ではビットコイン離れが進む背景にもなっている。
マイニングの電力を少なくする方法を開発するか、または環境に優しいマイニングの新しい方法を模索しなければならない。
そうしたとき、こうしたマイニングの環境問題を解決する方法が試されている。それを実施しているのは、ビットコインを法定通貨に定めたエルサルバドルだ。
同国のブケレ大統領は、火山を利用したマイニング(ボルケーノード)はまだ試運転段階にあると述べつつ、その成果を報告した。3万円相当の0.0059BTCが火山の地熱発電のマイニングによって採掘された。ブケレ大統領は、9月29日に火山熱を利用したマイニングの取り組みが「第一歩」を踏み出したと投稿した。
また、こうした環境に優しいマイニングはアメリカでも進展している。中国で暗号通貨マイニングが規制される一方で、アメリカでは暗号通貨マイニングへの投資が積極化しているが、それと同時にソーラーなどの環境に優しい発電が利用されつつある。
暗号通貨マイニング会社の「Argo Blockchain」は、テキサス州西部に建設中のマイニング施設用に2万台のマイニングマシンを購入する。マイニングマシンは2022年第2四半期(4-6月期)からテキサス州西部のデータセンターで稼働予定。同社は今年3月、データセンターの用地を購入した。
そしてこの施設は、併設された太陽光発電や風力発電の施設から電力が供給される計画になっている。環境にはクリーンなマイニングだ。
このように、マイニングの電力を再生可能エネルギーでまかなう方向は急速に大きくなりつつある。これまでマイニング業者は、安い電力の供給地を探してマイニングセンターを建設していたが、今後は異なった動きになる可能性が高い。各地にマイニング専用の再生可能エネルギーの発電施設ができ、これによってマイニングが行われる方向に進むかもしれない。
これまで、地球環境破壊の懸念からビットコイン離れが進む懸念はあったが、今後この懸念が緩和し、大きく変化する可能性がある。いずれにせよ、ビットコインの相場にとってはよいニュースだ。
Next: 悪材料も続々。フランスが悪徳業者をリストアップ、規制強化の動き
フランスの取引所規制
しかし、こうした強き相場を誘うニュースばかりではない。各国政府は依然として暗号通貨への規制を強めつつある。
このほどフランスの規制当局は、暗号通貨そのものではないものの、暗号通貨の取引所に対する規制を強化した。
このほどフランスの株式市場規制機関である「AMF」は、未承認の暗号サービスについて投資家に警告するため、暗号通貨市場の監視を続けているとし、不正な事業体を通じて暗号および外国為替(FX)投資を提供しているものを特定したと発表した。このリストには、暗号通貨デリバティブ投資に関連する4つのウェブサイトと、12のFX関連サイトが含まれている。
規制当局によると、リストアップされた事業体は、投資商品を提供する権限を持たずに投資商品を提供しているとのことだ。詐欺的な投資から投資家を守るため、規制当局は無許可の投資業者のブラックリストを定期的に更新する方針だ。
これは、暗号通貨そのものに対する規制ではなく、信用できないファンドや金融商品を規制するものだ。
暗号通貨の相場は今後も上昇するだろうが、市場や取引業者に対する規制はむしろこれから強まる方向にあるようだ。この動きがこれからどの程度相場に影響するのかは分からないものの、いまのところ、さほど大きな影響はないだろうという見方が強い。
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『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2021年10月5日号より一部抜粋
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昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。